くらし

いつか利用するときのために、介護保険サービスについて知っておく。

介護保険を上手に利用するために、まずは制度の仕組みや受けられるサービスについて知っておこう。
  • 文・ 殿井悠子 イラスト・古谷充子

高齢者の介護を社会全体で支える制度。

介護保険は、高齢者の介護を社会全体で支える国の制度。40歳以上の健康保険加入者全員を被保険者とし、生涯にわたって保険料を払う。介護が必要になった場合、収入に応じた自己負担割合を支払うと要介護度に応じたサービスが受けられる。被保険者は65歳以上の第1号と、40歳以上65歳未満の第2号の2種類(下表参照)。第1号は要介護になった理由を問わず、第2号は厚生労働省が定める16種類の特定疾病に限られる。

サービス内容は多岐にわたり、仕組みが複雑なため、上手に利用するには、ある程度内容を理解しておきたい。利用する本人(親)の状態によっては身内のサポートが重要になる。

●年齢によって2種類の被保険者に分かれる

※16種類の特定疾病とは?

受けられるサービス量は要介護度で決まります。

介護保険サービスをどれだけ受けられるかは、介護が必要な度合い(要介護度)によって決定される。要介護度は自治体が実施する認定調査で、要支援1・2、要介護1〜5の段階に分けられる。それぞれの目安となる状態は、左の表を参照。介護にかかる時間や手間、心身の状態の安定度によって判断されるので、必ずしも病気の重さとは一致していない。

介護保険サービスを利用するにはケアマネジャーと契約を結び、サービスを利用する人の状況や家族の希望を伝えてケアプランを作り上げていく。

●介護認定の度数による状態は?

介護保険の利用、 自己負担額は1〜3割。

介護保険を利用してサービスを受けられる上限額は、要介護度によって定められている。1カ月の限度額を超えた場合は自己負担になるので、上限額の範囲内でケアプランを設定するのが一般的だ。ケアプランで必要なサービスを組み合わせることで利用料金が決まるが、利用する事業所によっては加算があり、利用料が変わる場合も。被保険者の自己負担額は、年収によって1・2・3割となる。

●1カ月あたりの在宅サービス利用限度額と自己負担額の目安(1カ月) 

※標準的な地域の例。地域によっては加算がある。

住む地域によっても負担額は異なります。

介護保険サービスの利用料は、サービスの種類や内容、要支援・要介護の段階ごとに「単位」が定められている。これは、地域によって人件費などが異なることを考慮したもので、8つの地域区分(1〜7等地、その他)を設け、上乗せ割合を定めている。介護サービス利用料に居住地の地域区分の単価が加算されるので、同じ要介護度、同じサービス内容でも、都市部とそうでない地域では利用料が異なる。

●介護保険利用料の自己負担割合の目安(※)

※年金+その他の収入金額。 単身世帯の場合。表の大きさの違いは、負担数の割合を表現。

サービス利用は全額が保険の対象ではありません。

在宅で介護保険サービスを利用する際、費用の全額が保険の対象になるわけではない。

訪問系サービスの場合には、介護に必要であっても、おむつやガーゼなどは保険対象外。あらかじめ自宅に用意しておかなくてはいけない。また、通所系サービスでは昼食やおやつ代、レクリエーションに出かけた際の費用などは保険対象ではなく、別に支払う。短期入所系サービスの場合は、滞在費も必要になる。

保険が適用されないものの費用は施設により違うので、気になる場合は契約前に確かめよう。

高室成幸

教えてくれた人

高室成幸 さん (たかむろ・しげゆき)

ケアタウン総合研究所代表

ケアマネジャーや地域包括支援センターなどへの研修講師など、多方面で活躍。近書に『子どもに頼らない しあわせ介護計画』。

『クロワッサン特別編集 介護の「困った」が消える本。』(2021年9月30日発売)

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