ベトナムの手仕事によるオリジナルデザインの服で、一世を風靡した「COCUE(コキュ)」。そこを経て、セレクトショップ『QUICO(キコ)』をオープンし、16年。
「服だけでなく、暮らしを豊かにする道具たちを紹介したいと思って始めました。作り手の顔が見える、手仕事の温もりを感じるものを、時間をかけて探しています」(山本弘美さん)
最初は、世界各国のハンドクラフトを買いつけていたが、2年後には日本の手仕事に注目するように。東北や九州各地の職人を訪ね歩いた。そこで巡り合ったのが、会津の山ぶどうの手さげかごや、大分の竹かごなど。見た目が美しく、使い勝手もいい、量産ができないものばかりなので、自身の店で扱うまでは時間がかかったという。
「陶芸家の小川甚八さんの急須は、姿かたちも美しく、注ぎ終わったときにしずくが一滴も垂れない。味も違うんです」
家で過ごす時間が増えたからこそ、茶道具はいいものを選んで使いたい。名工の技が光る茶筒、贅沢な銅の茶こしなど、山本さんセレクトの茶道具は「用の美」のお手本のようだ。