くらし

アジアンビューティプロデューサー・小林優美さんが選ぶ、ニッポンの手仕事。

そこにあるだけで暮らしにリズムが生まれる。あるいは作り手の情熱と静謐さに感服する。目利きが選ぶニッポンの手仕事をご覧あれ。
  • 撮影・三東サイ 文・田村幸子

日本のすばらしさをアジアに伝えていきたい。

「台湾で暮らした10年の月日のおかげで、外国から見た日本のすばらしさ、手仕事の魅力に気づきました」

台湾でタレントとして人気を集めた小林優美さんは「ぜひ浴衣でパーティーに出席して」とよく言われたという。動画を参考に自己流で着てみたが、すぐに着くずれてしまう。

「あるとき、着物コンシェルジュの小谷幸さんに出会い、着付けを習ううちに、着物の魅力に惹き込まれました。最初に一目ぼれしたのが、蝶柄の大島紬。紡いだ糸を染めて柄を機織りする手仕事を奄美大島で見学し、ひときわ愛着がわきました」

着物を着たくても、なかなか時間がかけられないことも。そんなときは、デザイナー・河野祥子さんのオーガンジーのストールを愛用している。手描き友禅染と伊勢型染による凝った作品で、「シンプルな黒のワンピースに羽織るだけで、華麗な和の雰囲気が出せるんです」。

コロナ禍が落ちついたら、拠点を台湾に移す予定。日本の伝統工芸や手仕事を紹介したいと楽しみにしている。

鮮やかな色と柄に一目ぼれ。 蝶柄の大島紬。

「大島紬というとシックなものと思い込んでいました。え、これも大島紬?と驚いたのが、蝶の柄が織り込まれたこちら。私の着物の師匠が見立ててくれたものですが、糸を1本ずつ染めて模様に仕上げていく。ベテランの織り手でも、一日にわずかしか進まない。その途方もない時間をかけた手仕事に感激しました」(小林さん)

ふたつと同じものはできない墨流しの技。伝統工芸士・ 高橋孝之さんの着物。

東京友禅の伝統工芸士・高橋孝之さんの手による墨流し。「工房で墨流しを体験させてもらったのですが、『思い切ってやれば、それなりに模様になりますよ』と言われても、なかなかできなくて。高橋さんの作品は、それはそれは見事。一期一会の模様が生まれる瞬間を見せてもらい、着るのが楽しみになりました」

日本伝統の手描き友禅染と伊勢型染。 「WHITE PIGEON」 河野祥子さんの オーガンジーストール。

伝承された伝統的な染色を現代風にデザインして、和裁の技術で仕立てるのが河野祥子さんの手仕事。「このオーガンジーのストールは、身に纏うと驚くほど軽いのに、紫外線を防いでくれたり、冷え予防にもなる優れもの。日本人女性にはもちろんのこと、アジアの女性たちにも気軽に日本の着物文化を味わってもらえたら」

家で過ごす時間を華やかにしてくれる、 九谷焼作家・ 太田恵利香さんのワイングラスと箸置き。

金沢の『鏑木商店』で出合い、一目ぼれしたのが九谷焼の脚にブルゴーニュのグラスを合わせたワイングラス。「繊細な絵付けと九谷らしい紅色に惹かれました。このグラスでは家で白ワインを飲むのが楽しみ。箸置きも毎日使っています。『もし、グラスの部分が割れても修理できるから、持ってきて』と言われました」

小林優美

小林優美 さん (こばやし・ゆみ)

アジアンビューティープロデューサー

1999年、日本人歌手として初の台湾デビュー。2010年、結婚・出産を機に帰国。「シャングリラインターナショナルダイニング」CEO。

『クロワッサン』1054号より

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