日本の伝統的な模様染めの「型染(かたぞめ)」は、染色家・柚木沙弥郎さんの原点。「型染」とは模様を渋紙(しぶがみ)などに描いて型を彫り、染めない部分に防染糊を置いてから染色する技法。シンプルな単体のモチーフや、連続したパターンの模様などをデザインし、作品を70年以上もつくり続けてきた。
型染の着物や、帯、のれん、屏風。使う人が自由に、服やカーテン、タペストリーなどにアレンジできる広巾布を数多く手がけた。
「自分で洋服を縫う人が少なくなったでしょ。だから型染の広巾布の需要も減った。そのころから、自分の作品としてつくることが多くなりましたね」
意図的に自分が選んで制作してきたというよりも、「時代の流れだね。自然にそうなった」と柚木さん。