「〝観音開き〟の捌き方(下写真)を知って、むね肉はおいしいと思うようになりました」
筋に沿って包丁を入れ、薄く開いていく。するとパサつきやすいこの部位が、淡白だけれどしっかりした味わいになるのを発見。以来、牧野伊三夫さんはもっぱらむね肉派だ。
砂糖と塩、酒をふりかけて10〜15分置くと、さらにぷりっとした食感になる。オリジナル料理「トーチパクチー」は、さらにそぎ切りした肉をさっと蒸し煮するだけなのに、豆豉の複雑な旨みと香味で高級中華のような味わいがひろがる。もう一品は晩酌のアテにうれしい串焼き。
「毎晩、食卓の脇に七輪を置いて何かしら焼いたり炙ったりしながら酒を飲みます。むね肉の串焼きはシンプルだけどご馳走。レモン、七味、味噌などを並べて、銘々が好きな薬味で食べられるのも楽しいですよね」
もちろん、ガス火でも、グリルで焼いてもいい。いつもの鶏肉が串に刺さっているだけでワクワクするから不思議だ。