印象が変わる! 手書きのマナーやアイテムの選び方。
撮影・黒川ひろみ スタイリング・矢口紀子 文・野尻和代
手軽に取り入れたい。一筆箋・はがき・カード。
すぐに伝えたい用件がある場合は、メールやメッセージアプリでのやりとりがスピーディで便利。でも、「コロナ禍で人と直接会う機会が減っている今だからこそ、温かみのある手書き文字は特別感が増し、気持ちを伝えるのに効果的です」というのは、よりよい人間関係を築くための、さまざまなマナーを提案している船田三和子さん。
「手紙は文字の上手い下手ではなく、相手を思って丁寧に書くことが大切。筆跡や行間などに気持ちが表れ、言葉以上のものとなるのが魅力なのです」
とはいえ、いざ封書をしたためるとなると少し堅苦しくなりがち。
「贈り物などに添えるならば、種類が豊富で、用途も幅広い一筆箋を。季節の挨拶などにははがき、お祝いやお礼にはカードがおすすめ。短い文章でも、心を込めて書けば充分伝わります」
相手やシーンに合わせて、適切なアイテム選びを。
一筆箋、はがき、カードは、素材やデザインの種類が豊富で、今や送る側もセレクトするのが楽しみのひとつに。けれども、送る相手やシーンによっては、選び方を一歩間違えると無作法と思われてしまうことが。
「日本では、縦書きはフォーマル、横書きはカジュアルとされています。
それを基本に、一筆箋やはがきの場合は、上質な和紙を使った白の無地が格式高く、目上の人向け。
西洋紙や絵柄付きは日常使いとされ、ビジネスシーンではシンプルな無地の罫線入りを使うのが一般的。
友人など親しい間柄の人には、季節感や相手の趣味に合わせた絵柄を取り入れても素敵です。
カードは欧米文化のアイテムなので、横書きが基本。二つ折りで中紙がついているものがワンランク上とされます」
また、筆記具にも心配りが必要。
「和紙の時は筆ペンで、そこから万年筆、水性ボールペンという順でくずした形になります。インクの色は、黒ならば相手やシーンを選びません。でも、ビジネスや友人宛には、ブルーブラックで少し柔らかい印象にしても」
基本的なルールに沿って、気持ちよく伝えること。
「一筆箋の場合、用件は簡潔にまとめ、会話のような言葉でわかりやすく、ゆったりと書くこと。ビジネスでも前文の決まり文句は不要です。そして、最大2枚までに収めるようにしてください」
封書の略式であるはがきは、手紙同様、前文、主文、末文の構成が基本。
「ただし、スペースに限りがあるので、要点を絞り、主文の目的を明確に。プライベートの場合は、拝啓などの頭語は必要がなく、簡単な時候の挨拶から始めてかまいません。ビジネスや目上の方には、基本構成をベースに、言葉使いを丁寧な表現で。上下左右に1センチ程度余白をとって書き、文章が縦書きならば、宛名も揃えましょう」
カードもはがきに準ずるが、贈り物と別送の際はタイミングに注意を。
「贈り物到着の5日〜1週間前に届くように送るのがマナーですが、誕生日のお祝いの場合は同時でも失礼にはなりません。一筆箋もはがきもカードも、短い文章で用件をわかりやすく書くことが重要ですが、具体的な感想や感情、事柄をひと言入れると、より一層もらってうれしい手書きとなるでしょう」
『クロワッサン』1050号より
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