とある能楽堂での落語会の出来事。「宮戸川」という、夜中の雷雨がもとで若い男女が結ばれるという色っぽいながらもドタバタ劇な噺を演じていました。
外は夕立ちで、雷鳴も時々聞こえる……というのは建物の構造が一般の住宅とほぼ同じで、防音されていないからです。噺のヤマ場で「ひときわ大きな雷鳴がカリカリピシー!」というのと同時に、本物の稲光とゴロゴロドシーンという雷鳴。
あまりのタイミングのよさに、お客席から“おおっ”というどよめきと拍手が。こういうハプニングは楽しいものですね。でも実を言いますと、高座にあがる前にすでに激しい雨だったので、ことによったらドンピシャの間で雷が鳴るかな? と、内心期待してこの噺を演じようと決めていたんです。