あらすじだけお読みいただくと、切れ者の知能犯のお話のようですが、さにあらず。
「不景気でも真面目に泥棒を続ければ、神様は見ていてくださる」とか、ふたりで懸命に考えた計画に、実は三人必要なことに決行まで気づかないとか、憎めない間抜けさにあふれています。
そしてその計画の呑気さ、仲間に加わるもうひとりの安直ぶり、問屋の奉公人の夜中の行動など、どこをとってもいかにも小市民。とても小説やドラマの題材にはならない内容で、裏を返せば落語らしさにあふれた物語です。
どの場面も爆笑ではなく、思わずクスリとしてしまう、その仕上げがサゲ(オチ)ですね。聞いた瞬間ではなく、一拍二拍のち「ああ…」と思っていただけたら、それが何ともいえない落語日和の味わいですよ。
お芋が小道具なので、秋にご紹介するのにぴったりな一席だと思います。