くらし

読み返すことでよみがえる。 日々の記録は未来の宝物。【編集部こぼれ話】

7月27日発売の『クロワッサン』最新号、「無駄をなくして、スッキリ暮らす。」の第二特集、「日記で心を整える。」のこぼれ話をお届けします。

最近、「大人の日記」が静かなブーム。書店などにも日記帳のコーナーができていたり。今回本誌では、自分にあった書き方で始められる、日記ビギナーへの提案をしています。苦手意識があった人にこそ、発見がある特集です。そちらは本編をご覧いただくとして。

私(担当)の日記に関する思い出を少々。
幼少の頃から「できれば何もしたくない」という性分で、もちろん宿題の絵日記など息をするようにサボる。最終日に全部埋めるのが当然、という子供でした。
しかし小学校低学年の夏休み明け、そんな私が打ちのめされる出来事が。クラスメイトのNさんが壮大な「あさがお観察日記」を提出したのです。初日から最終日まで、細部まで描かれたあさがおの様子、詳しく書き添えられた観察記……最終日にやっつけ(以下)の仕事をした私を遥か高みから憐れむような眩しさを放ち、子供心にも感じる魂レベルの差……! 

Nさんはどちらかというと控えめで、勉強も飛びぬけてできるという生徒ではない、少なくとも私にはそう見えていました。そんな私のしよーもない上から目線を、彼女が突如放った「丁寧な継続」という攻撃が見事に粉砕したのです。

ああ私には一生かかっても無理。それほどその観察日記はすごかった(もちろん大人たちも感動し、Nさんの観察日記は特別に廊下に貼り出されることになりました。参観日にそれを見たうちの母は私以上に打ちのめされ、いまだに我が家では語り草になっている)。その強烈な体験が、日記に対するハードルをさらに上げ、私は今まで何かを記録したことはありません。

しかし、そのトラウマが、今回の取材で書き換えられたのです(40年以上ぶりに!)。
私はNさんの「毎日コツコツとやり遂げる凄さ」「面倒なことにも手を抜かないまじめさ」に感服して今日まで来ました。自分に全くないもの。そしてそれこそが日記を続けられる人の特性だと。
でも、それだけじゃなかったのかも、と取材を通して思い至ったのです。

Nさんはただ本当に、毎日成長し、姿を変えていくあさがおが面白くて愛しくて、記録に残したかったのかもしれない。まだ写真など簡単に撮れない時代に、Nさんは毎日同じ葉を鉛筆で写し取り、大きくなっていく様を記録していました。本当にやりたくてやっていたのです。

そして一年草のあさがおが種を残して枯れても、何年経った後でも、その日記を見返してそのあさがおと過ごした日々を懐かしく、鮮明に思い出す。
その一連の行為すべてが日記の楽しさ。Nさんは既にそれを知っていた。残念なことに、魂レベルの差はさらに大きかったのです。

とはいえ、思いがけないことが次々に起きるこんな日々だからこそ、あらためて言葉でも写真でも、継続して残すことは将来の自分の財産になることは間違いない。
その日の出来事、感じたこと、愛するもの、何かを記すことを始めてみて、あの夏のNさんに、ほんの少しだけでも近づけたら、と思うように。これ、自分比では凄い進歩です。

(担当H)
ちょこっと折れたガジュマル(?)の小さな枝を水に挿していたら根が出て植え替えて、気づけばこの大きさに。しかし写真撮ったのは初めてです。枝の時点から撮っていたら感動的だったかも。

7月27日発売の『クロワッサン』最新号は「無駄をなくして、 スッキリ暮らす。」

繰り返されると信じていた日常に図らずも変化が起きてしまった今年。ただでさえ忙しい毎日なのに、考えなければいけないことも山積み。なにかと複雑さが増す今だから、せめて日々の営みはシンプルに、頭もスッキリとありたいものです。
そこで目指すは、暮らしのスリム化! 毎日の家事や家計の管理、人間関係。がんばろうとすればするほど、負担が増していたこれらを見直して、徹底的に無駄を省きましょう。参考になるのは、プロのアドバイスとすでに実行に移した人たちの具体策。明日の自分をラクにしてあげましょう。

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※ 記事中の商品価格は、特に表記がない場合は税込価格です。ただしクロワッサン1043号以前から転載した記事に関しては、本体のみ(税抜き)の価格となります。

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