くらし

夫が育てた野菜を妻が料理。料理家の坂井より子さんのくらし【レシピ付き】。

野菜作りを楽しむ人たちにその醍醐味や、おいしい食べ方を教えてもらいました。
  • 撮影・小林キユウ 文・小沢緑子

家族が喜んでくれることが何よりもうれしいですね。

写真右:坂井より子さん
畑の手入れは農薬を使わず、雑草を抜いたり虫を取り除くのもすべて手作業で行っている。この日、夫の輝夫さんは土を耕して柔らかくしてから、ルッコラを植え付け。
畑の脇に流れる小川の浅瀬にびっしりと生い茂るクレソン。「摘んでもどんどん増えていくので取り放題なの(笑)。自然の力はすごいですね」(より子さん)

坂井より子(さかい・よりこ)さん●主婦、料理家。葉山で夫と息子と娘の家族の3世帯9人で暮らす。著書に家庭料理や暮らしの知恵を伝える『暮らしをつむぐ』など。

夫が育てた野菜を、妻が料理や保存食に。

昨年11月に植えたきぬさやは、冬を越し春先になった途端に大きくなった。「きぬさやは花が可愛らしいの。白や紫の花が咲く種類もあるんですよ」(より子さん)
1カ月前に植えたというじゃがいもからはすでに小さな芽が出ている。「じゃがいもの成長は早くて、あと2カ月ほどしたら収穫できると思います」(輝夫さん)
大根、にんじんなどを乾燥させた干し野菜。「天日で干すと野菜の味が濃くなります。炒め物、煮物、炊き込みご飯など、何にでも使えて便利」(より子さん)
収穫した茎ブロッコリーの花やパセリなどを、キッチンの花瓶へ。「こうしておくときれいなので、料理に使うまでお花代わりに挿しておくんですよ」(より子さん)

自宅近くの山あいに家庭菜園があり、毎日とれたての野菜で家族のために料理する主婦で料理家の坂井より子さん。

「10年ほど前に夫が畑を借りて、丹精込めていろいろな野菜を育ててくれています。おかげでいつも我が家の食卓はにぎやかに。季節の恵みのありがたさを改めて感じながら料理できるのも楽しいですね」

夫の輝夫さんが栽培する野菜は、春はブロッコリー、玉ねぎ、じゃがいも、夏はトマト、きゅうり、ピーマン、秋は里芋、さつまいも、冬は大根、白菜、春菊など、種類が豊富。一年を通してさまざまな野菜が味わえるよう、作付けの計画を立てているのだという。

苗から植えた玉ねぎは茎の部分が大きく膨らんできて、それらしい姿になってきた。
食べ頃を迎えたブロッコリー。しっかり育った主枝をなたか包丁で切り取り、収穫する。
昨年お正月用に植えた春菊の残り。そろそろ終わりの時期で最後の収穫を待つばかり。

「畑仕事は手をかけた分だけ成果が見えてやりがいがあるようです。私はお手伝い係ですが、畑に行くと小さかった芽がぐんぐん成長するのを見るのは気持ちがいいですね」

この日収穫したブロッコリーは坂井家定番のロールキャベツに添えられ、クレソンはごま和えに姿を変えて食卓へ。

「とれたての野菜は甘くそれだけでもおいしいので、なるべく素材の味を活かしたシンプルな料理にしています」

また、野菜は新鮮なうちに簡単な保存食にもしておく。

「根菜やきのこを天日干しにしたり、夏になるとドライトマトも作ります。毎年食べきれないほど取れるきゅうりは、ローリエと粒胡椒や赤唐辛子を加えて酢漬けに。作っておくと家族もたくさん食べてくれますし、ご近所やお友だちにおすそ分けもできるので」

夫が育てた野菜を妻が料理や保存食にし、味わった家族が笑顔になる。それが何よりもうれしいし励みになるともいう。そんな豊かな時間を、野菜を通して坂井家では楽しんでいる。

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