違う人種や文化圏の人が日本を書いてもいいんですよね。(深緑野分さん)
深緑 私は、その相棒役の登場人物がとても好き。クールな主人公がダメな相棒に振り回される話って大好物なんです。バディものだけど、2人のあいだに絆があるわけじゃないのがいいと思いませんか? そういう、人との関係の描き方でいえば、『ハイキュー!!』もすごくおすすめです。
瀧井 この漫画、いろいろな人に勧められて気になっていたんですが、まだ読んだことがなくて。バレーボールチームの話ですよね。
深緑 多彩な登場人物と、その関係性がすばらしい。一言でいうと、チームメイトだからって仲良くしなくてもいいんだと教えてくれているんです。
瀧井 どういうことでしょう?
深緑 人間としては嫌いだけど、チームメイトとしてお互いを尊重する感じ。友だちではなくチームプレイヤーとして相手を認めるという関係です。それって可能なんだ!と思わせてくれる。
瀧井 どうしても理解できなかったり、苦手だったりする人を「嫌い」と言って切り捨ててしまうのではなくて、自分とは違う存在として認めるということですね。無理に好きにならなくてもいいし、融合しなくてもいい。たしかに今の時代、とても大切な姿勢です。漫画からそれを学べるとは。
深緑 最初は嫌だなってやつも登場するんですが、その人がひねくれてしまった理由も描かれ、読み手もこの人はどうしたら過去に折り合いをつけられるんだろう?と考える。ある試合中、そのキャラが一瞬燃えるんですが、すぐまたいつもの冷たいやつに戻る。そこがいい。若い人たちがこういう漫画を読んでいると思うと、未来に希望が持てる気がしてきます。
瀧井 それは、大人も必読ですね。ますます読みたくなりました。
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ハイキュー!! 1 古舘春一