くらし

漢字の読み間違いを少なくするには?【円満字二郎さん】

話題のニュースから、うっかり勘違いの作法まで。大人の常識をアップデートする、珠玉のトピックを集めました。漢字研究者の円満字二郎さんに伺います。
  • 撮影・青木和義、黒川ひろみ、谷 尚樹  文・薄葉亜希子 

ひとつの漢字にいくつもの読み方があるから読み間違いは起こるもの。漢字研究者の円満字二郎さんによれば「音読みと訓読みだけでなく、さらに音読みは2つにわかれます。奈良時代の前に定着し、比較的古めかしい言葉に使われる『呉音』とそれ以降の時代に読まれるようになった『漢音』です。これが読み間違いを招く一つの背景で、代表的なのが『出生率』。『生』の呉音は“しょう”、漢音は“せい”と読みますが、出生は古くから仏教の世界で使われてきた言葉のため“しゅっしょう”が本来の形。ですが、今は各種辞書で“しゅっせい”も認めていて間違いとは言えません」。

さらには音読みになじみがない漢字、今はあまり使われない特殊な訓読みの漢字などが誤読を生みやすい。その代表例を下に挙げたが、いくつ読めるだろうか? 読めないものはこれを機に覚えよう。

音読みの「漢音(かんおん)」と「呉音(ごおん)」を知ろう

漢和辞典には漢音と呉音が記されている。たとえば「校」は“こう”が漢音で、呉音の“ぎょう”
を使う言葉は現在ほとんど見かけない。例題の「定」の漢音は“てい”、呉音は“じょう”、「入」の漢音は“にゅう”、呉音は“じゅ”と読む。(『新漢語林』大修館書店より)

【常温】
◯ていおん ×じょうおん

【出生率】
◯しゅっしょうりつ △しゅっせいりつ

【入水】
◯じゅすい ×にゅうすい

【定法】
◯じょうほう ×ていほう

この漢字、読めますか?

(1)完遂
(2)自刃
(3)凹凸
(4)中る
(5)雪ぐ
(6)月極

こたえ
1.かんすい 2.じじん 3.おうとつ 4.あたる 5.すすぐ(そそぐ) 6.つきぎめ

円満字二郎(えんまんじ・じろう)さん

漢字研究者。国語教科書や漢和辞典の編集歴20年以上。著書に『漢字ときあかし辞典』(研究社)など。楽しく軽妙な文章で漢検のHPなどで連載を執筆。

『クロワッサン』1007号より

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