からだ

骨折しやすい部位、骨粗鬆症になりやすい人……骨粗鬆症に関する5つのQ&A。

骨ケアはまだ早いと思っているあなた。実は、骨こそ「健康と美の土台」ということがわかってきました。
  • イラストレーション・風間りさ  文・越川典子、高橋顕子

Q. 骨折しやすい部位ってあるのですか?

A. ちょっとしたことで力が入る部位です。

「わずかな衝撃でつぶれてしまうほど、骨がもろくなるのが骨粗鬆症」と太田さん。下に挙げたのは、骨粗鬆症骨折に多い4つの部位。つまずいて手をつく、尻もちをつく、重いものを持ちあげる、といった日常の中の些細なことがきっかけになりやすい。
「骨は治るのに時間もかかるため、その間に生活の質が低下し、足腰の筋力が弱まり、寝たきりになることも。足の付け根の骨折では5年後の生存率が約40%と深刻な数値が報告されています」(太田さん)

《四大骨折に注意!》
1. 背中や腰の背骨
2. 足の付け根の骨
3. 手首の骨
4. 上腕の付け根の骨

Q. そもそも、なぜ骨がもろくなるのでしょうか?

骨粗鬆症の骨。骨代謝が滞り、骨形成が骨吸収のスピードに追いつけなくなると、骨の量が減る。

A. 骨吸収と骨形成のバランスの崩れが原因。

骨は、皮膚や血液と同じように絶えず新陳代謝が行われている。これを支えているのが3つの細胞。「破骨細胞」が古い骨を溶かし(骨吸収)、「骨芽細胞」が新たな骨を作り(骨形成)、やがて「骨細胞」へと変化。骨細胞がまた新陳代謝(骨代謝)を促すという仕組みだ。
「骨吸収と骨形成のバランスが崩れ、骨吸収の勢いが加速すると、骨の量が減り、強度も低下。これが骨粗鬆症です」と太田さん。
歳を取ると骨がもろくなるのは当たり前と思われがちだが、骨粗鬆症は病気。中には40代で発症する人も。
「適切な治療を受け、生活習慣を変えれば、いくつになってもまた元気に骨代謝が行われます」(太田さん)

Q. なりやすい人、なりにくい人っていますか?

骨粗鬆症の要因

A. はい。でも、なりやすい人も予防ができます。

骨粗鬆症は、小柄で痩せ型、高齢の女性が発症しやすいのは事実。しかし、生活習慣の中のリスクを小さくすることで避けられる。
「女性ホルモンの分泌が低下するので過度なダイエットは禁物。カルシウムやビタミンD、たんぱく質が不足するような食生活、糖分の過剰摂取も避けたいですね。お酒の飲みすぎ、喫煙は言うまでもありません。運動不足も骨を減らすので、適度な運動を心がけましょう」(太田さん)

Q. 治療はいつから開始するべきですか?

閉経後の女性の骨密度と骨折率。米国で実施された閉経後骨粗鬆症における研究。骨粗鬆症予備群の骨折数は骨粗鬆症患者よりもが多いことがわかる。骨密度にのみ頼っての治療では骨折は18%しか抑制できない。Siris ES et al Arch Intern Med 200 改変

A. 早ければ早いほど有効です。

骨折してから、やっと気がつく人が多い骨粗鬆症。しかし「骨粗鬆症は、妊娠8週目、胎児の骨形成のタイミングで下地ができて、高齢になってから発症する疾患ともいわれているんですよ」と太田さん。生涯を通して予防・改善が必要なのだ。
乳幼児期から20歳までは栄養と適度な運動により骨量を多く蓄えておくと安心だ。なぜなら、骨量は女性ホルモンの分泌量が多い20代をピークにどんどん減少していくから。とくに、閉経後の10年間で骨密度が15%も下がり、以降は1年に約1%ずつ減っていく。
だから、閉経前、40代になったら自身の骨の状態を知るため、骨密度検査を受けたい。骨粗鬆症はもちろん予備群であってもリスクがあれば、すぐに薬による治療を始める。最近では、あらゆる病気において「早めに治療を開始すること」が健康寿命を延ばす要素として注目されている。
「骨粗鬆症こそ、早期発見・早期治療が大事。今、骨密度が高い人も、油断せずに予防を!」(太田さん)

Q. 骨密度が高ければ、骨折の心配はないのでしょうか?

骨は鉄筋コンクリートに例えられる。骨の主成分はカルシウムとコラーゲン。骨粗鬆症は、カルシウムの不足やコラーゲンの糖化が進んだ状態。

A. 骨密度が高くても骨が劣化していることも。

骨粗鬆症の基準となる骨密度。骨密度で骨量を推定し、70%以下なら骨粗鬆症、70〜80%なら予備群と診断される。しかし、骨密度が高いのに、骨がもろくなる病気がある。
「糖尿病などの生活習慣病が引き起こす『新型骨粗鬆症』です」(太田さん)
上の図のように、骨の構造は鉄骨ビルに例えるとわかりやすい。カルシウムがコンクリートでコラーゲンが鉄筋。健康な骨は、建物ならまっすぐに立っている状態。カルシウムやコラーゲンが減少しスカスカになっている骨粗鬆症は、建物なら鉄筋も曲がり、コンクリートもぐずぐずに崩れている状態。一方で、カルシウムはあるのに、コラーゲンに糖が付着し糖化が進む新型骨粗鬆症は、建物なら外側からはわからないが、中で鉄筋が折れたり腐ったりしていると考えてほしい。
「骨密度から診断できないので、糖尿病で、骨折を繰り返している人は新型骨粗鬆症を疑って」(太田さん)
さまざまな症状を引き起こす糖尿病。糖質を摂りすぎている人は男女問わず生活改善を。

太田博明(おおた・ひろあき)●国際医療福祉大学臨床医学研究センター教授、山王メディカルセンター女性医療センター長。女性医療の第一人者。産婦人科医。日本骨粗鬆症学会前理事長、日本抗加齢医学会理事。著書に『骨は若返る!』『抜群の若返り!「骨トレ」100秒』など。

『クロワッサン』983号より

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