からだ

男性ホルモンはどんな働きをする?

激減する女性ホルモンに対し、男性ホルモンはゆるやかに減少。頼れる理由はそこにあり!
  • イラストレーション /ノグチ・ユミコ 

失われたエストロゲンの 代わりになってくれる

男性ホルモンを代表するのがテストステロンです。男性は主に精巣で、女性では卵巣や副腎で作られています。

女性のテストステロンの量は、男性のわずか10分の1程度ですが、下のグラフが示すように、なんとエストロゲンよりも多いのです(エストロゲンは一生でティースプーン1杯程度)。しかも、エストロゲンが劇的に減っていくのに対して、テストステロンはゆるやかに変化。年配になると再び増えるという最新研究もあり、ホルモンバランスは明らかに男性ホルモン優位に。

「女性ホルモンと男性ホルモンは働きが似ているところがあり、閉経後はエストロゲンの仕事をテストステロンがサポート。女性に多い骨粗しょう症などをカバーするのも、男性ホルモンの役目と考えられます」(辻村晃さん)

女性の性ホルモン量の変化

出典:Khosla et al. JCEM. 1998より

知っておきたい男性ホルモンの主な種類

男性ホルモンには、いくつかの種類がある。話題になることの多い代表的な3種類を押さえておこう。

◎テストステロン
男性ホルモンの代表的存在。男性では精巣で95%作られ、一日の変動が大きいが、女性ではそれほど変化しないとされる。分泌量は男性の10分の1程度。

◎DHEA
デヒドロエピアンドロステロン。正確にいえば男性ホルモン(女性ホルモンも)のもとになるもの。副腎で作られ、若返りホルモンと呼ばれることもある。

DHT
ジヒドロテストステロン。テストステロンに特定の酵素(5αリグクターゼ)が結びつくと生成される。毛髪細胞を低下させる作用があり、薄毛の原因に。

体だけではなく、心の元気にも影響

では、男性ホルモンは具体的にどんな働きをするかといえば? 「まず、筋肉や骨の力をサポートします。そもそも男性が女性よりも大きくてたくましいのは、テストステロンの分泌量が10倍ほど多いからだといわれています。抗肥満作用もあり、閉経後に太るのを防ぐ役目も期待できます」
また、認知症の女性患者に対してテストステロン投与後に認知症テストを行うと、結果が好転するというアメリカ内分泌学会の報告もあるそう。
「(日本では投与はできませんが)テストステロンに認知力を上げる働きがあるのは、ホットな話題として注目されています。さらに、男性の更年期ではテストステロンを補充すると、うつや性欲の改善傾向があり、女性にも同様の効果が期待できるという見方も。ちなみに、テストステロンは社会性ホルモンともいわれ、誠実で交渉力が高い人は分泌量が多いという研究結果があります。加齢とともに億劫になりがちな人との付き合いをサポートしてくれるのも、男性ホルモンの働きといえるかもしれません」

テストステロンが助けてくれる!

1.筋肉・ 骨を作る

テストステロンの最大の働きは筋肉を作り、骨を守ること。女性ホルモンが少なくなると、骨密度が減って骨粗しょう症などを起こし、体力ダウンにつながりやすい。テストステロンが体力維持の要に。

2.認知力を上げる

アルツハイマー病は男性より女性に多く、エストロゲンの激減が影響していると考えられている。テストステロンは認知力を高めるという米国の研究報告があり、減らさないようにしたいもの。

3.気力を高める

男性ではテストステロンが減るとうつ傾向、やる気が出ない、性欲の減退などがあり、肉体的にも精神的にもダメージ大。逆にいえばテストステロンが支えているということ。男女差はないと考えて。

4.血管を若く保つ

老化は血管から始まるといわれるように、血管が元気であることが若さにつながる。血管をしなやかに保ち、動脈硬化を予防してくれていた女性ホルモンの代わりになるのがテストステロン。

監修 辻村 晃(つじむら・あきら)

順天堂大学医学部附属浦安病院泌尿器科教授。兵庫医科大学卒業後、大阪大学医学部泌尿器科学准教授などを経て現職。男性学(前立腺疾患、排尿障害、男性不妊症、性機能障害、男性更年期障害など)を専門としており、メンズヘルスクリニック東京では男性更年期専門外来を担当する。

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