からだ

朝食が代謝を上げる〝時計遺伝子〞のスイッチに。

ダイエット中だからと朝の食事を抜いてしまうのはNG!代謝をアップさせる理想的な朝ごはんを管理栄養士の大島菊枝さんに教えてもらいました。
  • 撮影・岡本 潔 文・大澤千穂 料理・渡邊美穂

ダイエット中だからと、もともと食欲の湧かない朝の食事を抜いてしまう。これはかえって逆効果!

「朝ごはんを食べない人と食べる人を比べると、前者のほうが約5倍、肥満が多いというデータがあります」

と言うのは、管理栄養士の大島菊枝さん。その理由のひとつは時計遺伝子。

「生物は地球の自転に合わせた時計遺伝子を体の中に持っています。朝目が覚めて夜眠くなるのは時計遺伝子が刻むリズムによるものです。でも、人の体内リズムは地球の自転よりも少しだけ長いので、毎朝リセットする必要があるのです」

時計遺伝子にはふたつの種類がある。ひとつは脳にある主時計遺伝子で、朝日を感じることで時計をリセットする。もうひとつは内臓や皮膚、あらゆる細胞の中にある末梢時計遺伝子で、こちらは食事によってリセットされる。ふたつの時計遺伝子を同調させることでその日一日の代謝がアップするという。

「ポイントは朝日を浴びてから1〜2時間以内に食事をとること。時計遺伝子を効率よく働かせるには、糖質とタンパク質を組み合わせた食事がおすすめ。無理せず毎日続けられる食事内容であることも重要です」

最終的には朝3:昼4:夜3の比率で一日の食事バランスを整えるのが理想。

「夜は鉄やカルシウムなどのミネラルを積極的に摂って体を修復させ、炭水化物は、ご飯なら100g くらいが目安です」

朝、どうしても食欲が湧かないという人はドリンクからスタートを。一歩ずつステップを踏んで、理想の朝食に辿り着ければ、代謝は飛躍的にアップ。痩せやすい体に近づくはず。

無理のないレベルの朝食から始めて、徐々にステップアップを!

STEP1.固形物が食べられない人は糖質+タンパク質のドリンクを。

はちみつ入りカフェオレと野菜ジュースの豆乳割り

固形物を受け付けないので朝はコーヒー1杯だけ、コップ1杯の野菜ジュースだけという人がいる。でも、時計遺伝子をきちんと働かせるためには糖質とタンパク質は必要不可欠。そこで、「コーヒー派ならはちみつで糖質、牛乳でタンパク質をプラス。野菜ジュース派はもともとジュースに糖質が入っているので豆乳をプラスしましょう」

STEP2.低脂肪の乳製品を賢く活用。果物にかけたりパンに塗って。

バナナ&ヨーグルト、フルーツ&カッテージチーズ、パン&水切りヨーグルト

フルーツやパンといった糖質食品を食べる習慣を持っているなら、そこにヨーグルトやカッテージチーズなど、低脂肪の乳製品を加えてタンパク質を確保するといい。「一晩水切りしたヨーグルトは食べ応えのあるバター代わりに。パンに塗ればバタートーストに比べてタンパク質が増し、脂肪を減らすことができます」

STEP3.缶詰の具でトーストを作る。魚の油で時計遺伝子を活性化。

ツナのっけトースト

調理が簡単なパン食なら取り入れられそう。そんな人は具をひと工夫。「時計遺伝子を活性化するには糖質+タンパク質が基本ですが、魚油もまた時計遺伝子のリセットに効果的と言われています」たとえば、ツナ缶やサバ缶を朝食に利用する。パンの上にのせてトーストし、レモンを搾るだけで出来上がり。

STEP4.ご飯に温泉卵をのせるだけ。これ1杯で朝の栄養をチャージ。

理想を言えば朝の主食は、パンよりもタンパク質の含有量が多いご飯がおすすめ。そこに温泉卵をポンと落とせば、最も簡単にできる完全食に。「卵は半熟、かた茹で、焼き、生の順番で消化がいいので、温泉卵がおすすめです。毎日だと飽きてしまうのでキムチや味噌、じゃこなどのトッピングを活用しましょう」

STEP5.即席の汁ものをプラスし、ビタミン補給で代謝をアップ。

わかめの味噌汁、トマトスープ

慣れてきたら汁ものに挑戦。粉末出汁、乾燥わかめ、カツオ節、のりなどを入れた1人分の味噌玉を用意する。冷蔵でも冷凍でも保存可能。大さじ½の味噌に対してお湯200㎖が目安。「洋風ならコンソメとトマトペーストにお湯を注いで簡単ミネストローネに。即席の汁ものでも海藻のミネラル、トマトのビタミンが簡単に補給できます」

GOAL.理想の朝食、実はこんなに簡単です。

具だくさん味噌汁、ハムエッグ、ご飯

最終的に朝3:昼4:夜3のバランスにもっていくには、こんな朝食が理想的。ご飯軽く1杯に青菜やきのこといった冷凍可の野菜を活用した具だくさん味噌汁、そしてハムエッグ。拍子抜けするほどシンプルだ。「脂質とタンパク質のバランスを考えると、ハムエッグのような主菜が最適と言われています。旅館の朝食のように卵と納豆と焼き鮭となってしまうと、タンパク質が多すぎて消化の負担に。第一、用意するのにも時間がかかって続きません」多すぎてもダメ、少なすぎてもダメ。大島さんによると一食で摂るべきタンパク質量は15〜20g。「最初は朝食で10g 摂ることを目標に、徐々に適量に増やしましょう」

『クロワッサン』952号より

●大島菊枝さん 管理栄養士/東京農業大学卒業。大豆イソフラボン研究などを経て、朝食の重要性を説く。著書に『一生太らない食べ方習慣 朝ごはんはすごい』(ワニブックス)がある。

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