からだ

その眠りでは太ってしまう?
熟睡して痩せる5つのポイント。

加齢するほど睡眠の質が痩せる鍵に。

加齢するほど睡眠の質が痩せる鍵に。

CR13_tyuhaku_100

CR13_tyuhaku_100加齢するほど睡眠の質が痩せる鍵。深く眠るための5項目を、よみせ通り診療所所長の左藤桂子さんに教えていただきました。

午前3時までに寝て3時間ぐっすり眠り、合計で7時間睡眠を続けると、それだけで300キロカロリーを消費することができます。寝不足になると約100キロカロリーしか消費しないうえ、肥満率も増加するので太りやすい体になりがちです。

「眠り方は、加齢とともに変化するものです」と話すのは、よみせ通り診療所所長の左藤桂子さん。若い頃に比べ、睡眠の質が変わってきたことを実感している人も多いのではないでしょうか。

「思春期や成長期はまさに泥のように眠ることができます。大人になって40代ぐらいまでは、ちょうど『3・3・7』の睡眠でOKという状態です。それが50代になると、睡眠が細切れになってきて、朝までにちょくちょく目が覚める日も出てきます」

眠りが細切れになると、疲れがとれにくくなる。しかし、それは自然なこと。だからこそ、短時間でも質のよい睡眠がとれるよう工夫したいもの。

「若い頃より資産もあるし、子育てが一段落していれば時間もあります。ぜひお金と時間を自分のために使って、1日1回深い睡眠をとることを目標に、寝具にこだわる、寝室の空気をきれいにするなど工夫してみてください」

「試したい項目を選んで、組み合わせてください」と左藤さん。

「試したい項目を選んで、組み合わせてください」と左藤さん。


 

1.就寝時は真っ暗、起床は「光の目覚まし」で

加齢するほど睡眠の質が痩せる鍵に。

照明の力を借りるのも手。写真は、起床時刻の30分前に点灯し、電球色から昼白色へ変化しながら徐々に明るくなる「快適お目覚めタイマー」搭載のLEDシーリングライト(パナソニック)。

深い睡眠を得るためには、光のコントロールが効果的であり、重要です。まず、寝る時刻が近くなったら黄色の間接照明などに切り替えて部屋の明るさを落とし、さらに就寝中は真っ暗にすること。眠りを誘うホルモンのメラトニンが、たっぷり分泌されるようにするためです。



「メラトニンは、ほぼ真っ暗の状態といえる0・3ルクスの明るさで効率よく分泌され、30ルクス以上では分泌が減ると言われています。逆に見れば、光を浴びると目が覚めるということでもあります。蛍光灯のついた部屋は300ルクス以上が一般的ですから、たとえば夜寝る前にコンビニエンスストアに行ったりすると、目が覚めて眠りにくくなります」

この原理は起床にも適用できます。朝、カーテンを開けて朝日を30分くらい浴びると脳が反応して目が覚めます。日の出前に起床する場合や、仕事の都合などで昼夜逆転の生活をしている人は、青色の光の強いLEDなどの照明をしっかり浴びると起きやすくなります。

「また、光を浴びて体内時計がリセットされてから14時間後に眠る態勢が整います。長く寝たい休日の朝などは、その晩の就寝時刻から逆算して14時間前にいったん起きて光を浴び、それからもう一度眠るといいと思います」。

 

2.まくらや布団は合っている? 正しい姿勢で寝る。

寝具が自分に合っていないと、ぐっすり眠れない。購入時にぴったりでも、寝具も劣化するため、見直しは必要です。

「起きたときに肩が凝っている、腰が痛いと感じるなら、寝具が合っていない可能性があります。枕は後頭部ではなく首を支えるもの、敷布団は腰を支えるものと考えてください。素材はお好みで。個人差があるので、フィッティングしてくれる売り場で選ぶのがベストです」

首や背骨が自然なS字カーブをキープできる敷布団と枕がよい。横向きで寝る人は横から見て背骨がまっすぐになるものを。

首や背骨が自然なS字カーブをキープできる敷布団と枕がよい。横向きで寝る人は横から見て背骨がまっすぐになるものを。


枕だけ選ぶ場合は、使用中の敷布団の素材等を伝えて合わせてもらうとよいでしょう。

 

3.寝室の空気をきれいに保つ。頭は床下30cm分。

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「睡眠中に体に取り入れているのは空気だけです。寝室の空気が汚れていると眠りが浅くなり、眠っているつもりでも回復力が低くなります。たとえばカビの含まれた空気を吸っていたら、体の中で白血球が戦わなくてはなりません」

左藤さんがすすめるのは、国際的な基準をクリアしている空気清浄機を自動運転モードで設置すること。また、どうしても床には埃やごみが積もるので、ベッドではなく布団を敷く場合は、頭が床上30㎝以上になるようにしましょう。


 

4.就寝1時間前の入浴か足湯で寝つきが向上。

深部体温という言葉を聞いたことがありますか。わきの下で測る表面体温に対して、深部体温は内臓の体温のこと。

「夜、深部体温が下がってくると眠くなるように、人間の体はできています。汗をかくと熱が放射されて、深部体温は下がります。子どもが寝入りばなにすごく汗をかくのは、それで深部体温がぐっと下がって深く眠れるからなのです」

シャワーだけで済ませるよりも、入浴のほうが断然、深部体温を下げる働きがある。熱い湯に長時間つかると交感神経が刺激されてしまうため、できれば、ぬるめの湯にゆっくり10分以上つかってリラックスするのがいいそう。深部体温が下がってくるのは入浴後30分〜1時間なので、就寝1時間前に風呂から上がるとちょうどいい。

「体調が思わしくないときや、お風呂に入るまでの元気がないとき、時間がないときは、足湯でもけっこうです。足湯なら多少熱めの湯でも大丈夫。足だけ湯に入れて体をぽかぽか温めると、眠りの質が全然違ってきます」

 

5.眠る前に「ドローイン」でスイッチオフ。

さらに寝付きをよくする方法として、左藤さんは呼吸法「ドローイン」を紹介している。腹式の深呼吸です。

「初めての人は、やり方がつかめるまで立ったままで行うのがよいですが、慣れてきたら寝床で仰向けになって行ってもけっこうです。寝ながら深呼吸をしていることになりますから、気分が落ち着いてくるのです。お風呂上がりに深呼吸をするのもいいでしょう」

ドローインは、自分の活動スイッチをオフにして、自身を眠りに導いていく方法のひとつ。「眠る準備」の整え方は、まだほかにもある。温かいハーブティーを飲む、気分が落ち着く音楽をかけるなど、自分の暮らしに合うものを選んで、試してみるといいでしょう。

「たとえば、『入浴、肌の手入れ、ハーブティーを飲む、就寝する』といった流れをルーティンにして、毎日繰り返すと、自然と眠る準備が整いやすくなってきます。起床・就寝の一日のサイクルも一定化したほうが、体は楽ですね」

簡単にできる腹式の深呼吸「ドローイン」。

1.足を肩幅に開いて立ち、横隔膜を下げることを意識して、鼻から大きく息を吸い込む。

1.足を肩幅に開いて立ち、横隔膜を下げることを意識して、鼻から大きく息を吸い込む。

2.息を止めたとき、お腹がふくらんでいれば、正しくできている証拠。

2.息を止めたとき、お腹がふくらんでいれば、正しくできている証拠。

3.下腹から絞り出す感覚で、口から息を吐く。横隔膜を上げることを意識し、お腹をへこませる。

3.下腹から絞り出す感覚で、口から息を吐く。横隔膜を上げることを意識し、お腹をへこませる。


 

左藤桂子さん◎肥満外来を専門とする医師。よみせ通り診療所所長。著書に『ダイエット外来の寝るだけダイエット』(経済界)。

『クロワッサン』917号(2016年1月25日号)より

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