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【医師が教える】今日からすぐにトライできる、家庭にある食材で“お気軽薬膳”

最近、テレビドラマやCMなどで耳にすることの多い「薬膳」。「特別な食材や知識が必要」と感じる方も多いかもしれませんが、薬膳は"体と向き合う食事法"。特別なものではなく、日々の食事でできることなのです。今回は、薬膳の専門家であり医師の石原新菜さんに、家庭で手軽にできる"お気軽薬膳"の始め方を伺いました。寒い日にぴったりの、生姜を使ったレシピも紹介します。

文・岡のぞみ

食べることが“自分をいたわる時間”になる

【医師が教える】今日からすぐにトライできる、家庭にある食材で“お気軽薬膳”

年齢を重ねると、「冷え」「疲れ」「睡眠」など、体調の変化を感じることが多くなります。そんな日々の不調を、食事で整えていくのが薬膳の考え方です。

「自分の体調に意識を向ける薬膳の本来の目的は、その時々の体調に合った食事でバランスを整えること」と石原さん。

薬膳というと、漢方薬や特殊な食材を使った特別な料理を想像する方も多いかもしれません。実際は、スーパーで買える食材で十分。旬の野菜や調味料の組み合わせを工夫することで、立派な薬膳になります。

例えば、体を温める食材には、生姜、にんじん、長ねぎ、かぼちゃなどがあります。逆に、体を冷やすトマトやきゅうりなどは、夏場や体がほてっているときにおすすめ。

「今日は冷えたな」と感じる日は、温める食材を多めに取り入れてみましょう。そんな毎日の“ちょっとした意識”が、体調を整える第一歩になります。

“お気軽薬膳”5つのおすすめ食材

生姜は煮ることで温活効果アップ!他にも、身近な食材が調理方法の工夫で薬膳効果を引き出す
生姜は煮ることで温活効果アップ!他にも、身近な食材が調理方法の工夫で薬膳効果を引き出す

1. 生姜 × 蒸す/煮る

【期待できる効果】
便通の改善、血流促進、免疫力アップ、体を温める

【調理のコツ】
生姜を加熱・乾燥させることで作られる「ショウガオール」は、体を芯から温める効果があります。特に80℃程度で加熱すると効果が高まるため、温活には生姜を蒸したり、煮詰めるレシピがおすすめです。皮のすぐ下に栄養が詰まっているので、皮ごと調理するとさらに効果的。

加熱・乾燥することで、温活の味方「ショウガオール」に変化
加熱・乾燥することで、温活の味方「ショウガオール」に変化

2. さつまいも × 蒸す&冷やす

【期待できる効果】
整腸・便秘解消、疲労回復・滋養強壮、むくみ改善

【調理のコツ】
さつまいもを蒸かしてから冷ますことで、デンプンの一部が「レジスタントスターチ」に変化します。これは腸内環境を整えたり、血糖値の上昇を抑えたりと、食物繊維と同様の健康効果を効率よく得ることができるので、腸活におすすめです。

3. にんじん × 焼く

【期待できる効果】
眼精疲労の改善、貧血・冷え性の改善、乾燥肌・肌荒れの改善、胃腸の働きを高める

【調理のコツ】
にんじんは加熱することで甘みが増すだけでなく、β-カロテンの吸収率が上昇します。免疫機能を高めたい場合には、オリーブオイルなどの油と一緒に焼くレシピがおすすめです。

4. ネギ(長ネギ) × 煮る/焼く

【期待できる効果】
体を温める、発汗を促す、寒さや風邪による不調の改善

【調理のコツ】
薬膳的には、体を温める力があると言われ、寒さによる不調を和らげる助けになるとされています。鍋やスープに加えると自然な甘みが広がり、体を芯から温めてくれます。また、焼きねぎにすることで甘みと香ばしさがアップ!

5. かぼちゃ × 煮る/蒸し

【期待できる効果】
胃腸の働きを高める、エネルギー(気)を補う、体を温める

【調理のコツ】
薬膳では、胃腸の働きを高め、エネルギー(気)を補う代表的な食材とされます。体を温める性質もあり、体力がない時や胃腸が冷えて弱っている時のエネルギー補給に適しています。煮物、ポタージュスープ、電子レンジでの蒸し野菜などが手軽でおすすめ。

冬の冷え・便秘対策に! おすすめ生姜レシピ

女性に多い悩みである「冷え」と「便秘」。この2つを同時にケアできる、強い味方が生姜です。料理家で養生デザイナーでもある、井澤由美子さんに、体を芯から温める、お気軽薬膳メニューを聞きました。

「蕪と鶏肉のショウガオールシチュー」
「蕪と鶏肉のショウガオールシチュー」

蕪と鶏肉のショウガオールシチューのレシピ

冬の冷え・便秘対策にぴったりなのが、鶏肉の旨みを吸い、柔らかくとろとろに煮た熱々のホワイトシチュー。食物繊維が含まれており、体を温める効果もあるとされている蕪と生姜を組みわせた、温活メニューです。栄養がある蕪の葉も一緒にいただけるのが嬉しい。

【材料(2〜3人分)】

おろししょうが…大さじ3
鶏もも肉(唐揚げ用)…1枚(200g)
かぶ…4個
玉ねぎ…1個
にんにく…2片
オリーブオイル…大さじ2
牛乳(豆乳でも可)…1カップ
塩・胡椒・醤油…各少々
A 水溶き片栗粉(葛または片栗粉を大さじ1と1/2〜2、水を大さじ2で溶く)

【作り方】
1.
かぶは縦4等分に切り、葉は3cm幅に切って5分水に放してザルに上げる。玉ねぎは1cm幅にスライスし、にんにくは潰す。鶏肉は塩、胡椒を全体に適宜振る。
2. フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れ、香りが立ってきたら(1)の鶏肉の表面の色が変わるまで中火で炒め、はじに寄せる。空いた所に玉ねぎを加えてしんなりするまで炒めたら、かぶを加えてさらに3分ほど炒めて油を回す。水300㏄と生姜を加えてフタをし5~7分煮る。
3. かぶが柔らかくなったら、牛乳200ccを加えて温める。湧いてきたら混ぜながらAを加えてとろみをつける。醤油3滴、塩で味を整える。味が足りなければ鶏がらスープの素少々を加え、好みでスパイスを振っても。

「干しきのこの生姜炊き込みご飯」
「干しきのこの生姜炊き込みご飯」

干しきのこの生姜炊き込みご飯のレシピ

きのこは食物繊維が豊富に含まれており、腸活にぴったり。生姜を皮ごと使うことで、ショウガオールをしっかり摂取できる炊き込みご飯です。

【材料(2〜3人分)】

しょうが…2かけ
米…2合
干しきのこ(しめじ1パック、エリンギ3本、まいたけ5枚分)
A:塩麹・酒・水 各大さじ1と1/2、青海苔(生か乾燥)大さじ2

【作り方】
1.
米は洗って30分浸水させザルに上げる。生姜は皮付きのまま千切りにする。干したきのこを割いてフライパンに入れ、Aを加えてフタをして2~3分中火で蒸し煮にする。
2. 炊飯器に(1)の米をいれ、目盛りより少なめに水を入れる。干しきのこ1カップ分(好みで増量しても)を入れ、生姜を乗せて普通に炊く。

大切なのは、無理せず続けること

時間がある時に冷凍ストックの準備をするのも◎
時間がある時に冷凍ストックの準備をするのも◎

「お気軽薬膳」は、続けられることがいちばん大切。頑張りすぎず、”手抜き上手”に楽しむのがコツ。「今日は料理したくない!」という日でも大丈夫。簡単に取り入れられる工夫をご紹介します。

冷凍食品を活用する
「冷凍かぼちゃ」「冷凍ほうれん草」「冷凍刻みネギ」などは、すでにカットされているので手軽に利用できます。お味噌汁やスープに凍ったまま加える、電子レンジで加熱して温野菜として食べるなど、火や包丁を使わずに済みます。

飲み物で取り入れる
紅茶に「シナモンパウダー」を一振りするだけでも、体を温める効果が期待できます。チューブの生姜をお湯に溶かして生姜湯にするのも手軽です。

「薬膳の本来の目的は、その時々の体調に合った食事でバランスを整えることです。『今日はなんだか冷えるな』と感じたら、ショウガやネギなど温める食材を意識する。『ちょっと疲れているな』と感じたら、さつまいもや鶏肉など元気を補う食材を摂ってみましょう」(石原さん)

特別なことをするのではなく、普段の食事の中で「今の自分に必要なもの」を少しだけ意識してみる。その日の気分や体調に合わせて、楽しみながら日々の生活にお気軽薬膳を取り入れてみて。

記事監修:医師・イシハラクリニック副院長  石原 新菜さん 
レシピ考案:料理家・養生デザイナー 井澤 由美子さん

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