軽度の場合は、薬物療法、コルセットの装着、温熱療法、さらに適度な運動の指導といった保存的療法によって症状が改善しますが、歩くと足がしびれて歩けなくなり、少し休憩すると症状が治まって歩けるようになるという歩行障害(間欠性跛行(はこう))や、しびれでトイレがしづらくなるという排尿・排便障害などを伴う場合は重度の可能性が高く、場合によっては脊柱管を広げる外科的療法(手術)が必要になります。
なお、この病気は神経が圧迫される部位や状況によって、「神経根型」と「馬尾型」の2タイプに分けられます。
背骨を通る脊髄神経は、一般的に第一腰椎の位置あたりで終わり、その下からは馬の尻尾のような形状の神経「馬尾神経」となります。
脊髄神経および馬尾神経は、5個ある腰椎それぞれの椎間孔から枝分かれして「神経根」という神経の枝を出しています。
脊柱管狭窄症の神経根型は、この神経根が圧迫されて神経に炎症が起こるタイプで、坐骨神経痛などがこれにあたります。
一方、馬尾神経が圧迫されて神経に炎症が起こる「馬尾型」の場合は、両足からお尻にかけてしびれが生じます。また、悪化すると排尿・排便障害を伴うことが多いのも馬尾型です。
脊柱管狭窄症で多数派である神経根型は、保存的療法で回復が可能なことがほとんどです。一方、少数派である馬尾型は手術が必要となる可能性が高くなります。
特に馬尾型は、症状が進行してしまうと、手術しても後遺症が残る可能性があり、早期発見・治療が大切になってきます。そのため、歩行障害だけでなく排尿・排便障害を伴っている場合は、すぐに整形外科を受診しましょう。