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女性の健康と快適さのための「フェムケア」、まずは膣と向き合ってみよう。

女性の健康と快適さのための「フェムケア」が注目されています。ネガティブな見方を変えるところから始めてみませんか?
  • 撮影・黒川ひろみ イラストレーション・ハニュウミキ 文・黒澤 彩

【膣ケアとは】性に向き合うことで自分を大切に。体の変化にも気づける。

1.日本と海外では全く異なる、 自分で膣をケアするという意識。

膣まわりのセルフケアってどんなことをするの? と戸惑う人も多いかもしれない。

日本では“陰部”という呼び方が示すように、悩みがあってもオープンに話しにくく、我慢してやり過ごさなければいけないかのような認識だったのだから、その反応も当然だ。

「20年以上前にフランスで学んだとき、性科学が重視されていることに驚きました。食や睡眠と同じように、性も生活の質を左右する大切なもの。膣ケアは、健康のためにごく普通のことと捉えられていました」と、植物療法士の森田敦子さん。

婦人科の医師が膣外陰部のオイルマッサージを指導することも、フランスでは当たり前だったそう。

「日本でもフェムケアという言葉が浸透してきました。膣をケアする習慣もより一般的になっていくと思います」

2.加齢によって変化していく膣にこそ、積極的なケアを行う。

ただ生活しているだけでも、歩いたり座ったりするたびに下着や生理用品で擦れてしまう膣まわり。

デリケートゾーンなどと言いつつも、擦れやムレに対して何の手当てもしてこなかったかも? 若いときには特に意識せずとも潤っていてぷっくりと弾力があった膣も、放っておくと更年期を迎えるころから乾燥し、性交痛などの不快な症状につながることも。

粘膜に覆われた膣は、もともと潤っているもの。しかし、加齢にともなってエストロゲンが減少し、粘液が出にくくなることで、乾燥しやすくなる。それゆえに保湿が欠かせない。

「きちんと手をかけてあげると肌は応えてくれます。『いい歳をして膣のことを気にするなんて……』と言う人もいますが、気になったときこそ、ケアを始めてみましょう。何歳からでも遅すぎるということはありません」

今はそれほど悩んでいなくても、予防的に保湿やオイルマッサージ、骨盤底筋群のトレーニングをしておくのがおすすめ。もちろん、症状がつらいときはまず病院へ行こう。

3.ケアをすることで、体と心も だんだんと変化していきます!

洗浄、保湿、マッサージという一連のお手入れは、フェイシャルケアと同じように毎日の習慣にしたい。手をかけた分だけ、変化を実感できる。

「乾燥していた膣まわりが潤っていくのがわかると、うれしいものです。自分の体の大切な一部として愛着が湧き、膣やセクシュアリティに対する意識が変わってきます」

フェムケアとは自分自身を慈しむこと、と森田さん。パートナーとのスキンシップを維持するためという面ももちろんあるが、それだけではない。「私の体」「私の心」を大事にしようとする気持ちが芽生えることも、大きなメリットの一つだという。

「加齢による変化はどうしても避けられません。でも、マイナス要素ばかりを数えて悲観するのではなくて、ケアをすればよくなると思えば前を向けるはず。セクシュアリティはいやらしいこと、隠すべきことではありません。自分の性を大事にすることが、自己肯定感につながるはずです」

4.まずは、きちんと自分自身の膣と向き合ってみよう。

膣ケアを始めようにも、自分の膣まわりをきちんと見たことすらないとしたら、この機にぜひ観察してみよう。膣口、小陰唇、大陰唇、尿道口、クリトリスといったパーツを一つひとつ確かめ、構造を理解するのが健やかな膣への第一歩。

「色や形、大陰唇の大きさ、肌の質感、毛の量など人によってさまざまです。何が普通とはいえないので、人との違いを気にする必要はありません。そもそも比べる機会もないですしね」

それでも抵抗感のある人に森田さんがすすめているのは、気に入った手鏡を買うこと。「膣は顔」と考えて、いい手鏡を使うようにすると、今まで感じていたような抵抗感が薄れ、膣まわりへの意識も変わってくる。

「自分の性を大切にすること、多様性を知ることなど、フランスでは親から子へ性の知識が伝えられています。まずは私たち大人世代が意識をアップデートして、タブー視することなく子どもに教えるべきではないでしょうか」

森田敦子

森田敦子 さん (もりた・あつこ)

植物療法士

フランスで学んだ植物薬理学の知識を生かし、フィトテラピー・性科学、フェムケアの普及、商品開発に携わる。主な著書に『潤うからだ』などがある。

『クロワッサン』1070号より

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