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野菜に期待するのは、体を守る植物成分ファイトケミカル! 簡単ジュースレシピも紹介。

野菜をたくさん食べると健康にいいといわれる大きな理由は、植物の持つ力が私たちの体を守ってくれるから。その主役がファイトケミカルです。ここではよく耳にする成分の解説と、その成分がふんだんに摂れる色素成分たっぷりの簡単ジュースも紹介します。
  • 文◦韮澤恵理

ファイトケミカルとは植物が自分を守る力

ファイトケミカルとは、都合が悪いからといって自分で移動ができない植物が、光や温度といった環境や、虫、動物などの外敵から自らを守る成分。さまざまな外的要因から自分自身を守るために作っている化学成分のことをいいます。

色素成分や香り、アクなど、種類も多様ですが、大きく分けると水に溶ける性質のポリフェノール、脂に溶ける性質のカロテノイド、揮発性のイオウ化合物が代表的です。

植物である野菜を食べることで、その植物の防衛機能を人の体でも効かせることができます。たとえば活性酸素から細胞を守って老化を防いだり、免疫力を高めたり、体の働きを正常に整える働きなどがあります。

ファイトケミカル

植物に含まれる香り、アク、色素などの化学成分の総称で、自らを守る働きがある。

\水溶性/(ポリフェノール)
水に溶けやすい成分なので、水にさらしたり、ゆでたりすると失われやすい。

\脂溶性/(カロテノイド)
油に溶ける成分で、油に溶け出すと吸収がよくなるので、一緒に摂るのがおすすめ。

\揮発性/(イオウ化合物)
揮発しやすい成分で、細胞を壊すと成分が得やすい。水に溶け出しやすく熱に弱い。

水に溶けるポリフェノール

●アピイン
セロリの香り成分。精神を安定させ、ストレスに伴う不調にも効く。
多い食材/セロリ

●アントシアニン
濃い赤紫から青の色素で、特に目を守る働きが注目されている。
多い食材/紫キャベツ、紫たまねぎ、ブルーベリー、小豆の皮など

●イソフラボン
女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをする。更年期以降の骨粗しょう症や、動脈硬化の予防に役立つ。
多い食材/大豆、豆腐や豆乳などの大豆製品

●カテキン
糖の吸収をゆるやかにしたり、コレステロールを減らす効果や、認知症予防効果も
多い食材/お茶

●ケルセチン
特に抗酸化効果が高く、コレステロール値の低下などに効果を発揮。
多い食材/たまねぎ(皮)、お茶、りんご、ブロッコリーなどにも

●クロロゲン酸
脂肪の蓄積を抑えたり、血糖値を上げにくくする効果も。
多い食材/じゃがいも、なす、ごぼうなど。コーヒーにも

●ナスニン
なすの皮の深い紫色の色素でアントシアニンの一種。心臓や血管を守る効果も研究が進められている。
多い食材/なす

●フラボノイド
アントシアニンの仲間で、生活習慣病予防や老化防止効果がある。
多い食材/たまねぎ、にら、ぶどう、アスパラガスなど

●モモルデシン
苦味の成分で、血糖値を改善し、消化能力を高めたり、疲労回復効果もある。
多い食材/ゴーヤ

●ショウガオール
生姜の辛味成分で、生に含まれるジンゲロールが加熱や乾燥でショウガオールに変わる。胃腸の刺激、血行促進、抗菌効果もある。
多い食材/生姜

●ロズマリン酸
香りの成分で、アレルギー反応を抑える効果などもある。
多い食材/しそ、ミント、レモンバームなどハーブや香草

油となじみがいいカロテノイド

●β-カロテン
体内でビタミンAに変わる黄色い色素で、皮膚や粘膜を保護し、目の機能を支える効果も高い。
多い食材/にんじん、ほうれん草、モロヘイヤ、かぼちゃ、唐辛子、赤パプリカなど

●β-クリプトキサンチン
特に抗酸化効果が高い黄色い色素。脂質の代謝や骨の形成にも役立つ。
多い食材/パプリカ、温州みかんをはじめとする柑橘類、パパイヤ

●アスタキサンチン
甲殻類に含まれる赤い色素。抗酸化力が高いので積極的に摂りたい。
多い食材/えび、かに、鮭など

●カプサイシン
唐辛子の辛味成分で脂肪燃焼効果も期待できる。
多い食材/唐辛子など

●カプサンチン
唐辛子などの赤い色素で、動脈硬化予防の働きも持つ。
多い食材/唐辛子、赤ピーマン、パプリカ

●ゼアキサンチン
網膜の健康を維持する働きが強い黄色い色素。
多い食材/パプリカ、とうもろこし、サフラン、くこの実など

●リコピン
β―カロテンの2倍以上の抗酸化力がある赤い色素。血糖値の安定、コラーゲン生成を助ける効果も。
多い食材/トマト、にんじん、すいか、ピンクグレープフルーツに

●ルテイン
緑黄色野菜に含まれる黄色い色素。網膜でブルーライトをカットするなど、目の健康維持に役立つ。
多い食材/ほうれん草、ブロッコリー、トマト、にんじんなど

刺激成分イオウ化合物

●イソチオシアネート
アブラナ科の植物が持つ揮発性の刺激成分で、高い健康効果がある。
多い食材/キャベツ、大根、貝割れ大根、ブロッコリーなど

●硫化アリル
ねぎやにんにくの辛味および刺激成分で、酵素で分解され、ビタミンB₁の働きを助ける。
多い食材/たまねぎ、長ねぎ、青ねぎ、にんにくなど

●スルフォラファン
アブラナ科野菜の辛味成分。ブロコッリースプラウトは数十倍多い。
多い食材/ブロッコリースプラウト、ブロッコリーなど

5色のジュースで手軽にファイトケミカルを取る!

(白)

【材料(2人分)と作り方】
かぶ 80g
カリフラワー 80g
梨 1/2個
レモン汁
はちみつ 各大さじ1
豆乳 1カップ

をミキサーにかける。

(黄色)

【材料(2人分)と作り方】
黄パプリカ 150g
オレンジ 100g
パイナップル 100g
レモン汁 小さじ2
水 3/4カップ

をミキサーにかける。

(緑)

【材料(2人分)と作り方】
小松菜 100g
キウイ 1個
レモン汁 大さじ1
生姜 1片
はちみつ 大さじ1
水 1カップ

をミキサーにかける。

(紫)

【材料(2人分)と作り方】
紫キャベツ 100g
冷凍ブルーベリー 60g
りんご(皮ごと)100g
レモン汁 大さじ1
水 3/4カップ

をミキサーにかける。

(赤)

【材料(2人分)と作り方】
トマト 140g
冷凍ラズベリー 60g
レモン汁 小さじ2
水 3/4カップ

をミキサーにかける。

※はちみつを足しても。

『Dr.クロワッサン 体に効かせる野菜の食べ方』(2020年9月28日発行)より。

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