からだ

野菜は切り方で栄養効果がアップする?素朴な疑問にお答えします。

  • 野菜指導/名取貴光 料理・栄養指導/岩﨑啓子 撮影/黒川ひとみ 文/韮澤恵理

Q.細胞を壊すと栄養効果が得やすくなる?

栄養成分のほとんどは細胞内にあるので、細胞を壊すことで栄養はダイレクトに得ることができます。特に、大根ややまいもに含まれる消化酵素は食べるときに働く成分。しっかり噛んで口の中で働かせると効果的です。

食物繊維は胃液などでは消化されずに腸に届くので、切り方の影響は受けにくいのですが、野菜には複数の栄養素が含まれているので、消化のいい形状にすることがおすすめです。

生姜をおろす

生姜は繊維の多い食材で、成分をダイレクトに効果的に摂るには、おろしたり、みじん切りにするのがおすすめ。

大根をおろす

大根の魅力は消化酵素によってでんぷんやたんぱく質の吸収がよくなること。口内から消化を助けるにはおろすのが一番。

やまいもを叩く

やまいもの魅力の一つも消化酵素。すりおろしたり、せん切りにするのがおすすめですが、ヌルヌルして扱いにくいので叩くのも効果的。小さめに叩くと、せん切り同様の効果が得られる。

Q.繊維を断って切るのと沿って切るのはどう違ってくる?

野菜には繊維の向きがあり、繊維を断ち切るとやわらかく、繊維に沿って切ると歯ざわりが生きてシャキシャキした食感が楽しめます。細胞を断ち切り、栄養成分を素早く吸収するには繊維を断ち切るのが効果的ですが、食感を残すことでおいしくたっぷり食べられる場合も少なくありません。

煮物がやわらかい、炒め物がしゃきっとしているなど、おいしさも野菜の消化吸収を支える要素なので、上手に切り分けたい。

大根を繊維に沿って切る

せん切りはすでに細胞を切っているので、繊維に沿って切るのが正解。しゃきっとした食感がおいしさにつながる。

大根の繊維を断ち切る

ふろふき大根や煮物など、加熱する際には繊維を断ち切るとやわらかく味もしみる。食物繊維を多量に摂れる調理法。

たまねぎを縦薄切りに

縦半分に切ってから繊維に沿って切るとシャキシャキの食感に。薄切りなので、揮発成分もしっかり摂れる。

たまねぎを横薄切りに

繊維を断ち切るように切ると、ビタミンの吸収を助ける硫化アリルが摂れるだけでなく、歯切れがよいので食べやすい。

Technique(野菜の豆知識)

●切り方で変化をつけて楽しくたくさん食べることも大切
同じ野菜でも、切り方で味わいは違います。スティックにして食べごたえを得る、薄切りにしてたっぷり食べる……。飽きない食べ方を工夫することは、野菜で健康的な生活を続けるコツ。同じきゅうりでも、スティック、スライス、薄切りを塩もみなど、切り方で多彩な食感になります。楽しみながら毎日野菜を!

●スティックに
縦に半分に切ったり、さらに半分にするスティックは食べごたえがありダイエットにも役立つ。

●斜め切りが基本
基本は2〜3mm厚さの斜め切り。このままグリーンサラダに使ったり、ずらして重ねてせん切りにする。

●ごく薄切りもいい
まるのままや半分に切って1㎜以下の薄切りにし、塩もみなどにするとあえ物などでたっぷり食べられる。

名取貴光

名取貴光 さん

食品成分研究者 医科学博士

山梨学院大学健康栄養学部教授、副学部長。山梨大学大学院医学工学総合教育部人間環境医工学専攻博士課程修了後、名古屋大学大学院医学系研究科研究員を経て現職。専門は食品科学、神経科学。日本農芸化学会、日本生化学会などに所属し、生体や食品を構成している成分が体の中でどのような働きをしているか、脳神経系統を中心に研究を続けている。

岩﨑啓子

岩﨑啓子 さん

管理栄養士 料理家

聖徳栄養短期大学を卒業後、同大学研究室助手、料理研究家のアシスタント、保健所での栄養指導などを経て、料理研究家として独立。書籍や雑誌、メニュー開発などで活躍。栄養バランスを考えた、やさしく飽きのこない味で、簡単に作れる毎日の家庭料理を多数提案している。数十冊の料理書をはじめ、ダイエットや食事療法の頼れる著書も多数。

※プロフィールは雑誌掲載時の情報です。

『Dr.クロワッサン 体に効かせる野菜の食べ方』(2020年9月28日発行)より。

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