頭痛や肩こり、倦怠感に冷えなどの体調不良の原因が、猫背などの悪い姿勢にある、ということに気づいている人は多いのでは? でも、一般的にイメージする“正しい”姿勢も、実は心身に悪影響を与えていることも知ってほしい。
「姿勢が悪いと体の荷重バランスが崩れ、関節や筋肉の機能が低下し、内臓や神経、血管を圧迫します。そこで姿勢を正そうと、頑張ってまっすぐな姿勢を保とうとしますが、すぐ疲れてしまい、また元の悪い姿勢に戻ったり、反動でより一層姿勢が崩れてしまう場合が多いんです」(理学療法士・大橋しんさん)
なぜ“正しい”姿勢を維持できないのか。その理由は、心身の緊張が悪い姿勢を招いているのに、さらに全身に力が入った“正しい”姿勢を維持しようとして、心身を余計硬直させてしまうから。
「緊張やストレス、不安などを日々感じ続け、グッと体を固めて過ごした結果、頭や背骨、首回りや骨盤、膝など、様々な部位がロックされています。こうした緊張のロックを外し、本来の体の動きを取り戻せる“よい”姿勢を身につければ、疲れにくい体が手に入るのです」
でも、努力してロックを外そうとすると、ロックをより強固にしてしまい逆効果。そこで大橋さんが考案したのが、フレーズをイメージするだけで体の内側からロックを解除し、自然とよい姿勢に導かれるメソッド。ベースにしたのは、無意識の緊張から心身を解放させていくメソッド「アレクサンダー・テクニーク」の技法。欧米では大学のカリキュラムにも入る、医学や音楽など様々な分野で幅広く活用されている学問だ。
「疲れにくい体には、頑張りや無駄な緊張はありません。今回提案するメソッドを、姿勢をよくしたい時や、不安やプレッシャーを感じた時に行ってもらえば、力みが解け、姿勢も整っていきます」
誰でも取り入れられる簡単なメソッドを、次ページで詳しく紹介する。