からだ

【医師に取材】ちゃんと知りたい、免疫力と感染症Q&A

大切な防護システムである免疫。きちんと働いてもらうために「こんなときはどうすれば?」。
まだまだ知りたい免疫力と感染症、食事や栄養について、公衆衛生の専門家である伊藤明子さんに尋ねました。
  • イラストレーション・山下カヨコ

Q.免疫力アップに、たんぱく質が大切だと知っていますが、肉がもたれて苦手。豆腐などの大豆食品だけ食べていてはダメ?

たんぱく質が豊富な食材には、大豆以外にも肉、魚、卵、乳製品とたくさんあります。大豆食品は食物繊維も一緒に摂れる良い食材なのですが、100gあたりのたんぱく質含有量は木綿豆腐で6.6g、豆乳3.6gと、そう多くはないのです。

一方、卵、魚、肉などの動物性たんぱく質は、量が摂れる上に必須アミノ酸が豊富で、摂取効率が良いという利点が。脂肪が多い肉が苦手なら、卵と魚、魚と豆腐といった組み合わせで食べると、質・量ともにバランスよく摂ることができます。

Q.新型コロナウイルスを終息させるには 「集団免疫」をつけるべき、という話を 聞きますが「集団免疫」とは何ですか?

ある感染症に対して、多くの人がその病原体への免疫を獲得した状態のことをいいます。たくさんの人がウイルスに対抗できるような免疫を持つようになれば、新たな感染者が減り、同時に免疫を持たない人が感染するリスクも減らせるという考え方です。

免疫を獲得するには、ウイルスに自然感染する場合とワクチンを接種し抗体を獲得する方法があります。ただし、短期間で免疫の効果が弱ってしまう場合やウイルスが変異した場合には、集団免疫の効果が不十分になる場合もあります。

Q.インフルエンザワクチンを打っても感染する人がいるのはなぜですか?

主な理由として、インフルエンザウイルスが変異しやすいことが挙げられます。インフルエンザワクチンは、次のシーズンに流行する型を予測して作られるため、接種した型と実際に感染した型が一致しないと発症することもあるのです。

とはいえ打っておけば、感染しても死亡を防いだり重症化するのを防ぐ効果が。インフルエンザは毎冬数百から数千人が亡くなっています。肺炎や脳症を防ぐ効果は期待できるので、ワクチンが無駄になるということではないのです。

Q.ビタミンDは日光を浴びるだけでは足らないのですか?

ビタミンDは、紫外線を皮膚に浴びることで、体内で作ることもできます。必要とするビタミンDの8割ほどが太陽から、2割ほどが食べものからです。

ところが現代生活では、美容上の観点や皮膚がんリスクの点から日光浴が避けられる傾向に。また、緯度によって地上に届く紫外線量は異なり、日光浴だけではビタミンDは十分に作られない可能性が高いです。

ビタミンDが不足、欠乏すると骨の不調や脳機能にも関わるので食品やサプリメントから積極的に摂取したい栄養素です。

Q.やっぱり有機食品を選んだほうがいいですか?

有機野菜は、従来野菜よりも残留農薬が少なく、抗酸化物質(ビタミン、ミネラルなど)が多く含まれているという報告があります。ただ、やや割高になるので、家計に無理のない範囲で、取り入れるのがお勧め。

まずは、さまざまな種類の野菜を食事に取り入れることが大切。多種多様な食材を食べることで、より多くの栄養素を摂れるからです。また、有機野菜は地球に優しいので、有機農家さんを応援する気持ちや地球のために選ぶと考えてみるのも良いでしょう。

Q.サプリメントはどんなときに取り入れるといいですか?

体内の化学反応・代謝が正常に機能するためには、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素、補酵素が不可欠です。足りなくなると、免疫系をはじめ体のさまざまな機能の低下につながります。

まずは食生活を立て直すことが大切ですが、ビタミンDなど現代人が不足しがちな栄養素については、サプリメントで補うことを検討してもいいでしょう。ただ、サプリも製品によって質にばらつきがあります。栄養面で予防医療にあたっている医師やかかりつけ医に相談してみるのも一つの方法です。

Q.免疫力を維持するのに 「温めたほうがいい」って本当ですか?

ストレス過多の現代では、自律神経のうちの交感神経が優位になり、常にアクセルを踏んでいるような状態になりがち。そのままでは、体にさまざまな不調を招きかねません。

そこで、意識的に副交感神経優位のリラックスモードに切り替えることが大切になるのです。対処法には、体を温めること、呼吸法、瞑想(めいそう)などがあり、習慣にすることで免疫系や消化器系の調子が整う効果が期待できます。ただし、それだけで感染症に打ち勝つことができるというわけではありません。

Q.何時に食事をするか。 時間は免疫力に関係しますか?

生き物の細胞には時計遺伝子が組み込まれていて、体の機能を24時間のリズムに合わせて調節しています。血圧、体温、活動レベル、睡眠と覚醒、そして消化・吸収、ホルモン分泌も時計遺伝子の影響を受けます。

よって、朝食べたほうが肥満になりにくく、夜食べると太りやすいのは事実。本来、休息モードに入る夜遅くに食事をとると睡眠の質も落ちてしまいます。腸内細菌のバランスも崩れやすくなるので、免疫系にも影響します。食事のタイミングはとても重要です。

伊藤明子

伊藤明子 さん (いとう・みつこ)

赤坂ファミリークリニック院長

東京大学医学部附属病院小児科医、公衆衛生専門医、同時通訳者。東京外国語大学外国語学部イタリア語学科卒業後、同時通訳の仕事を経て40代でドクターに。一般診療に加え、栄養・食事療法などの診療も。二児の母。近著に『医師がすすめる抗酸化ごま生活』(アスコム出版)。

『Dr.クロワッサン 最新版 免疫力が上がる食べ方』(2020年5月28日発行)より。

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