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1回10秒でやわらかく! 大人のための柔軟講座。

何があった?カラダが硬いことにかけては自信あり(?)の岸本葉子さんが、ストレッチ体験でみるみる柔軟なカラダに変身!スポーツ&サイエンス代表の坂詰真二さんに教わりました。

撮影・黒川ひろみ ヘアメイク・武田尚子(MÉLANGE) スタイリング・春原久子 文・石飛カノ

カラダが硬い! その原因がどこにあるかを探っていきます。

[Check 1 ]片足立ちになって左右のバランスをチェック。

1回10秒でやわらかく! 大人のための柔軟講座。

骨盤が後ろに傾いていること以外に、坂詰さんは岸本さんのもうひとつの特徴を指摘。

「ふだん、左足に体重が強くかかって、重心が左に傾いてますね」
「(鏡を見て)あー本当だ。今まで全然気づきませんでした!」

脚の長さを比べてみると、体重が常にかかっている左脚の方が2cmほど短い! いつも負荷がかかっているだけに左脚の柔軟性が失われやすいという。こうした左右差は、誰にでもある課題。

1回10秒でやわらかく! 大人のための柔軟講座。

[Check 2 ]苦手な前屈で太ももの裏の柔軟性をチェック。

1回10秒でやわらかく! 大人のための柔軟講座。

床に座って脚をのばしての前屈チェック。

「子どもの頃から苦手だったのがこれ。そもそも床に座ったときに膝が床から浮いてしまうんです」

床に座っただけで、

「この時点で、すごく筋肉が張っている気がします」

そして前屈をしてもらうと、

「これでいっぱいいっぱいです!」

カタカナの「ヒ」の逆バージョンでギブアップ。原因はやはり、骨盤が後ろに傾いていて、お尻と太もも裏が硬くなっていること。

[Check 3 ]開脚のチェックでは90度開かないことが判明。

1回10秒でやわらかく! 大人のための柔軟講座。

開脚もすこぶる苦手という岸本さん。

「60度くらいしか開きません。(顔をしかめ)ここまでが限度です!」

「無理しなくていいですよ。60度ということはないですけど75度程度ですね。後ろに寄りかかりたい感じですか?」(坂詰さん)

「ハイ、ぐらぐらします」

上半身を起こした姿勢をとるのが辛く、後ろに寄りかかりたくなるのも、やはり骨盤が後ろに倒れているせい。

股関節が開かないのも、内ももの筋肉が硬いからではなく、骨盤に原因がありそう。

骨盤の傾き、重心の傾き。いずれも課題は下半身にありそう。

「背中を引き締めた姿勢をとるなど、上半身は自分でコントロールできるんです。でも、下半身はそれができない感じ」(岸本さん)

脚をのばして床に座ったとき、膝が浮くように、立った姿勢aでも膝の裏がまっすぐにのびない。

「膝がのびないと、日常生活でちょっとずつ損をしているような気がします。洗濯ものを干したり、下にあるものを持ち上げたり、カラダが硬くなければすべての動作が楽にできるんじゃないかと」

座り姿勢の癖が当たり前になると、やがては関節が変形する!?

坂詰さんによれば、膝が曲がる原因も骨盤の後傾によるところが大きいのだそう。

「これは誰でもそうなんです。骨盤が後ろに倒れた後傾姿勢をとれば、膝は自然に曲がります。その姿勢が癖になると、お尻と太もも裏の筋肉が硬くなって、太もも前の筋肉で体重を支えることになります」

「膝が硬いことしか気にしてませんでした。これも骨盤の傾きが原因なんですね……」(岸本さん)

さて、骨盤に傾きが生じると、姿勢が悪くなったり日常生活の動きが鈍くなるだけではない。実はその先には、もっと恐ろしいことが。

「本来、人は前後に同じ幅で脚を振って歩いています。大きな歩幅で歩くことができるのはこのためです。でも骨盤が後ろに傾くと、前にしか脚を出せなくなり、歩幅が狭くなってしまうんです」

標準的な成人の歩幅は身長×0.45cmで70〜80cm、それが高齢者になると半分以下の30〜40cmくらいに狭まってしまうという。

加えて、股関節や膝、足首といった関節の動きが小さくなっていくと、歩幅が小さいどころか〝すり足〟になり、歩行が困難な状態に。これがいわゆる、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)。

考えてみれば、高齢者の姿勢の定番は猫背で骨盤が後ろに倒れ、膝が曲がった姿勢。でも、まだ「高齢者」と呼ぶには早すぎる段階で、こうした姿勢が癖になっている人も少なくない。

その主な理由は、生活環境の変化。

「日中、立って過ごすことが多かった時代は、足や膝がカラダの土台でした。でも今は、一日中座りっぱなしでパソコン作業をしている人が多数派です。座り姿勢の場合、カラダの土台となるのはお尻。ほとんどの人は座り姿勢で骨盤を後ろに傾けているので、お尻の筋肉が縮んで硬くなり、立った姿勢でもその形が保たれてしまうんです」(坂詰さん)

岸本さんはデスクワーカー中のデスクワーカー。座り姿勢の癖が立ち姿勢に影響している可能性あり。

「本当は正座をする方が楽だし、姿勢も整えやすいんです。仕事も正座でしたいくらい。でも、ちょうどいい机がないので椅子に座って作業をしていて、休憩は1時間半くらいごとに。そういう生活が骨盤が傾く原因になっているんですね」

年齢とともに骨盤が後ろに傾き、歩幅が狭くなっていくのは、ある程度仕方のないこと。でも、現代人はわざわざ自分から老化を前倒しにしている、と坂詰さん。

「骨盤が後ろに傾いた姿勢がまだ、〝癖〟のうちは救いがあります。でも、放っておくと股関節や膝などの関節が固まって〝癖〟ではなく〝変形〟になってしまいます。だからこそ今がチャンスです。ストレッチで固まった筋肉をほぐして骨盤のポジションを整えていきましょう」

「カラダが硬いのは生まれつきだと思っていましたが、そうではないんですね。〝癖〟のうちに指導していただけてよかったです!」

「お尻と太もも裏が硬いので膝が曲がり、太ももの前側で体重を支えているんです」(坂詰さん)
「お尻と太もも裏が硬いので膝が曲がり、太ももの前側で体重を支えているんです」(坂詰さん)
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