医師・大谷義夫さんが健康のためにやっていること6つ。
文・宮田文郎 イラストレーション・山下カヨコ 撮影・岩本慶三
ドクター大谷健康法(1)毎日15分間の昼寝で脳を休ませ血圧も下げる。
お昼の休憩時間も慌ただしく過ごし、昼食は手短に済ませる大谷さん。そんななか毎日大事にしているのが、午後の診療が始まる前にとる15分程度の昼寝。
「昼寝の効用はさまざまなデータが出ています。例えば、午後の仕事の能率が上がる、平均血圧が下がるといったことです。私もいい年なので、平均血圧を下げるために15分は寝るようにしています」
診療室の椅子に座って足を投げ出して午後のひとときを。「目を瞑(つむ)るだけでもいい。15分から30分、脳を休めるために昼寝すると元気も回復します」
また、睡眠時間も大切にしていて必ず6時間は寝るように心がけています。これは6時間を切ると風邪をひきやすくなるというある研究結果から。「どんなに忙しくても、ある年代からは睡眠時間を削ってまでやってしまうとツケが回ってきますよ」
ドクター大谷健康法(2)1日4回、徹底した歯磨きで口内の細菌増加をブロック。
声を出すだけでなく、口腔(こうくう)ケアにも力を入れており、1回3分の歯磨きを朝昼晩の食事後、加えて就寝前にも必ず。このときはフロスを欠かしません。
「誤嚥性肺炎の原因は食べ物より唾液です。免疫力が落ちているときに細菌が多い唾液を誤嚥して、吐き出せないと肺炎になります。細菌は唾液が減る夜間に増えるので、就寝前も必ず歯磨きをすることが健康につながります」
ドクター大谷健康法(3)50代からの運動は、朝よりも 仕事の後、夜に行うのが理想。
筋肉を落とさないための運動は週に3回。1kmの水泳、ルームランナーでのジョギング、暗闇ボクシングのいずれかに励んでいます。水泳は、27歳の頃から。一方、暗闇ボクシングは始めたばかり。大音量のBGMが流れる真っ暗な室内で、45分ほどサンドバッグを叩いてストレスも解消します。
運動で汗を流す時間帯は、必ず夜と決めています。年齢を重ねるに従って、朝の運動は心筋梗塞や脳卒中などのリスクが高まるのが理由です。
「20代なら朝走ってもいいですが、50代でしたら午後のほうが安全かと思います」。
体のためには運動する時間帯も実は大切です。
ドクター大谷健康法(4)コーヒーや水、ココアでさまざまな病気を予防。
デスクにはコーヒーと水のボトルを常備。「コーヒーは1日に3杯程度だと寿命を延ばし、喘息(ぜんぞく)の発症を抑えるというデータがあります。それを知って以来、3杯飲むように心がけています」
水も、朝起きた際や就寝前に250ml飲むなど、1日約1.5リットルを摂取。
「診察がひとり終わるたび、のどを潤します。冬場は緑茶でカテキンを摂ってインフルエンザを予防しています。おかげでここ何年も、軽い風邪しかひかなくなりました」
忙しさが増す夕方18時にはココアを1杯。血圧を下げる作用や動脈硬化予防作用があるカカオポリフェノールで心を落ち着けます。
ドクター大谷健康法(5)朝食は栄養がつまった食材をスムージーにして。
朝食のスムージーの中身は、葉酸を含むブロッコリースプラウトなどの緑黄色野菜。さらに肺機能によいリンゴや、カリウム豊富なバナナ、免疫バランスを整えるヨーグルト、抗酸化作用や咳止め効果があるハチミツに動脈硬化を予防するエゴマ油も。肺炎予防にもなります。
ドクター大谷健康法(6)糖質ゼロは避けるべし。エネルギーの半分は糖質で。
朝のスムージーや昼食のサンドイッチを含め、気をつけているのは緑黄色野菜をしっかり食べること。その理由は、嚥下反射や咳反射に欠かせないドーパミンの分泌量減少を防ぐため。ドーパミンの生合成には、緑黄色野菜に含まれる葉酸が必要だからです。
また、夕食は主に自宅でしっかりと食べています。ご飯も茶碗に6〜7割ほどを必ず。
「糖質ゼロはダメだと思います。世界的な医学誌『ランセット』でも、エネルギーの約5割は糖質から摂るのが最も寿命が延びると発表されています。また、筋肉量を維持するために、夕食でたんぱく質や脂質をしっかりと摂ることも大事です」
『Dr.クロワッサン あなたも、すぐできる! 名医の健康法』(2019年9月28日発行)より。