からだ

“ゆるゆる漢方家”による、こもった熱を発散させる夏の養生。

薬をのむほどじゃないけど、なんとなく調子が悪い。そんな季節の不調が毎日の暮らし方と食材だけで改善します。
毎日、店頭で健康相談を行い、漢方の理論をやさしく伝える“ゆるゆる漢方家”櫻井大典さんに聞きました。
  • 文・土田由佳 イラストレーション・浜野ふみ子

夏の養生

心に負担をかけないよう適度に汗をかき、こもった熱を発散させる。

熱を発散させながら冷え対策も。

夏は「心(心臓、小腸、血脈など)」に熱がこもって負担がかかる季節です。心がオーバーヒートすると、血液循環も悪くなり、心筋梗塞なども起こりやすくなります。涼しい時間帯に散歩をしたり、湯船につかるなどして適度に汗をかき、こもった熱を発散させることがポイントです。

暑いからといって、エアコンが効いた部屋にばかりいては、汗をかけずに熱が発散されないでこもってしまいます。そうすると、こもった熱を冷まそうとして、冷たいものに手が伸びがちに。冷たいものばかりをとっていると、今度は内臓が冷えて消化吸収力が低下し、一気にバテます。

熱を発散させることも重要ですが、どこに行ってもクーラーがガンガンに効いている今の日本では、実は夏こそ冷え対策をしないといけないのです。体感温度は人それぞれなので、寒いと感じない程度にクーラーの温度設定をし、上着やひざ掛けなどを使い、クーラーの風が直接あたらないようにして、冷えから身を守りましょう。

氷入りの飲み物も冷えのもとです。「氷なしでお願いします」を口癖にしてください。果物や飲み物は冷蔵庫から出してすぐに口に入れるのではなく、30分くらい前に出しておきましょう。キンキンに冷えたものはNGです。

意識して冷たいものはひかえる。

心を養うには、苦い食材がおすすめです。苦い夏野菜の代表格、ゴーヤーはとてもいいですよ。夏の食事にぜひ取り入れてください。たまねぎは、余分な水分を出し、胃腸を整えてよく動かします。さらに血流改善もしてくれるので、まさにこの季節にぴったりの食材です。

夏に旬の桃は、果物のなかでも珍しく温性で、胃腸を冷やさないため、胃腸が弱い人にもいいです。ただし、のぼせたり、熱っぽい人、イライラしやすいタイプには、すいかのほうがおすすめ。体に潤いを補い、胃腸の機能を整え、血をめぐらせます。

肉類は少なめにし、豆類、豆製品、ごま、夏野菜(瓜類やなすなど)をとり、温性のにんにく、ねぎ、しょうが、しそなどで、冷たいものとのバランスをとりましょう。

夏にきちんと養生していないと、秋に乾燥性の咳が発生し、冬に悪化してしまうこともあります。意識的に冷たいものをひかえたり、十分な養生をしておくことが、秋と冬の健康につながっていくのです。

【食欲低下】冷たいものと水分のとりすぎに注意!

暑い夏にはどうしても冷たいものに手が伸びてしまいがちですが、それが食欲低下の一因になっている可能性大です。冷たいものや水分のとりすぎで、胃の中で水分が滞って、食欲がなくなったり、消化が進まずにもたれたりします。

「脾(胃や消化器官)は湿を嫌う」といわれ、脾は冷たい水分が大の苦手です。とにかく、冷たいものや生ものを避けることが肝心です。水分の排出を促す利尿作用のあるオクラを食べましょう。

朝食も見直してみてください。サラダやヨーグルト、スムージーなどを食べていませんか? 体にいい、ヘルシーというイメージがある食べ物ですが、漢方では逆。これらは胃腸を冷やして「湿邪」を生み出すものと考えられています。

これらばかりを食べていると、余分な水分や老廃物がたまって、体が冷え、体内の血液の循環が滞る原因に。代謝も悪くなります。カロリーイメージだけでなく、食べ物が本来もっている効能を考えて食べる習慣を取り入れましょう。

【夏バテ】涼しい時間帯の散歩で適度に汗をかく。

夏は暑さで、体を守る防衛力が低下します。それで夏カゼをひいてだるくなったり、頭痛を引き起こしたりします。暑いからといってクーラーの効いた部屋ばかりにいては、汗をかけず、熱が発散されないで体内にこもり、体力が低下して夏バテにつながります。

夏は適度に汗をかくことも重要です。朝や夕方の涼しい時間帯に散歩をしたり、シャワーだけで済ませないで、湯船につかって、適度に汗をかくようにしましょう。

夏の代表ともいえるすいかは、体内の余分な熱を冷まし、潤いを補ってくれるのでぜひとってほしい食材です。少量の塩をかければ、ミネラル分も補給されて、なおいいですね。

注意したいのは、すいかを冷蔵庫でキンキンに冷やさないこと。冷えたすいかを食べると内臓まで冷えてしまいます。常温で食べましょう。

気力や体力を増強するためにはやまいももおすすめ。気の不足による夏バテに特効です。

【多汗】あれこれ考えないでスパッと寝る。

汗をすごくかくという人は、自律神経が乱れてしまった証拠。いわゆる自律神経失調症のひとつといえます。発汗作用や体温調節は自律神経が担っているのです。自律神経失調症の場合は、とにかく早く寝ることが大事です。あれこれ考えずにスパッと寝る、これに尽きます。

多汗の原因はいろいろです。睡眠不足、油っぽいものや味の濃い食事が多い、ストレス過多など。このような不規則な生活や食生活の乱れ、ストレスが続くと、体内に余分な熱がこもって、大量の汗をかいてしまいます。

こういうときは、酸味をとってください。お酢よりも柑橘類やトマトがいいです。冷蔵庫から出してすぐに食べると体を冷やしすぎてしまうため、常温に戻してからいただきましょう。

汗をすごくかいて、疲労感が強いという人は、エネルギー不足で毛穴を閉める力が弱っているのかもしれません。米やいも、豆類、えびをとりましょう。

櫻井大典

お話を伺ったのは

櫻井大典 さん (さくらい・だいすけ)

ゆるゆる漢方家

「成城漢方たまり」 で健康相談を行っている。アメリカの大学で心理学を学び、帰国。国際中医専門員。『食べる漢方』(マガジンハウス)監修、主な著書に『まいにち漢方食材帖』(ナツメ社)など。

『Dr.クロワッサン 不調が消える、ふだん漢方』(2020年1月28日発行)より。

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