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しらいのりこさんのぬか漬けライフ。肉や魚の旨味を引き出す4つのおかずレシピ付き。

おいしく栄養価も注目のぬか漬けに魅せられたしらいのりこさん。昔ながらの野菜はもちろん、肉や魚もサッと漬け込み、料理にも応用しています。
  • 撮影・青木和義 文・知井恵理

ぬか床に漬けた肉や魚をソテーして、味わい深いおかず作りを。

しらいのりこ(しらい・のりこ)さん●料理研究家。お米の魅力を研究するユニット「ごはん同盟」としても活動中。近著に『これがほんとの料理のきほん』(成美堂出版)など。

しばらくぬか床を休眠させていたしらいのりこさん。ステイホーム中に時間ができたのを機に再開したところ、「お通じがよくなり、明らかに体調が整ってきたんです。アボカドというお気に入り食材を見つけたこともあり、これはじっくり研究してみようと」

野菜やフルーツをひと通り漬けて自分の好みを知った後に、しらいさんが目をつけたのは、肉や魚のタンパク系。

「普段から魚や肉、ゆで卵を味噌漬けや塩麹漬けにしていたので、ぬか床に漬けてみてもおいしいだろうなと。やってみたら、肉や魚のタンパク質とぬか床はとても相性がよく、身質がやわらかくなり、旨みも凝縮しておいしくなるとわかりました」

ゆで卵も、驚くほどおいしくなる。
「2日くらい漬けると、ぬか床の酸味が加わりマヨネーズで和えたような風味に。刻んでタルタルソースやポテトサラダに混ぜています」

風味も食感も新鮮な味わいが広がるのがタンパク系ぬか漬けの魅力。

知りたいことはSNSで呼びかける。

「梅仕事もぬか漬けも、つぶやくとすぐにコメントが返ってきて、全国の皆さんの知恵に助けられています。奥深く、まだまだ学べることも多く、ぬか漬けは挑戦のしがいがありますね」

しらい流のぬか漬けライフ。よく漬けているのはアボカド、りんご、ゆで卵。

しっかりと漬かった古漬けが好み。

「野菜から出る汁も旨みになるので、塩揉みをせずぬか床に漬けています。毎日1度はかき混ぜて、ぬかのご機嫌と漬かり具合をチェックします」

しらいさんのぬか床は、生ぬか500g、塩100g、水2カップを入れて混ぜ、最初に昆布、赤唐辛子、大豆をつぶした打ち豆、しょうがを入れて、野菜の切れ端を漬けて捨て漬けを行い、10日ほどで整ったそう。試行錯誤も楽しみながら。

ぬか床の容器は野田琺瑯のもの。真夏は冷蔵庫、気温が25度くらいになったら常温で棚の上に置いている。
アボカドはタテ半分に切って種を取り、皮をむく。りんごは皮つきのままくし形切り。ゆで卵は殻をむき丸ごと。
食材を入れたら、ぬか床を手のひらで軽く押さえて空気を抜く。「味が染みやすくなり、漬けムラも防げます」
色や触った感触で漬かり具合をチェック。「軽く指で押すとやや凹むくらいがほどよい目安。あとはお好みで」
アボカドとりんごは「これを食べるためにぬか漬けをしているほど気に入っています」。

ぬか床の乳酸菌の働きで肉や魚の旨みを引き出す、ぬか漬けのおかずレシピ。

しらいさんのとっておきのぬか漬けレシピを紹介。ぬか床を適量取り分け、砂肝や豚もも肉などを漬け込み、グリルやフライパンで焼く。

「肉なら牛肉、魚ならさわらやサバ、ほかに豆腐もおすすめです。味噌漬けにしておいしい食材は、たいていぬか漬けにも合うと思います」

煮汁にぬか床を溶かして風味をつけるぬか炊きは、「青魚にぴったり。独特の臭みが抜け、骨までおいしくいただけます」。

ポリ袋などに食材とぬか床を入れて軽く揉み込み、袋の空気を抜いて口を閉じ、数時間〜1日程度漬け込む。

ほのかな酸味とぷりぷりの食感。

鶏肉のぬか漬けソテー

包丁の先で皮全体に穴を開けると、味なじみがよくなり焼き縮みも防げる。

【材料(2人分)】
鶏もも肉1枚
ぬか床大さじ3
油大さじ1

【作り方】
1.鶏肉は余分な脂を除き、ぬかを塗って保存用袋に入れ、一晩冷蔵庫で保存する。
2.1のぬかをさっと洗い流す。フライパンに油を入れて弱めの中火で熱し、鶏肉を皮目から焼く。4分ほどしたらひっくり返し、ふたをしてさらに2分ほど焼いて取り出す。

食感はそのまま、旨みが凝縮。

砂肝のぬか漬け焼き鳥

砂肝の青白い部分は硬い筋なので、包丁でそぎ落とすと食感がよくなる。

【材料(2〜3人分)】
砂肝120g
ぬか床大さじ3
長ねぎ1/2本

【作り方】
1.砂肝の青白い部分を取り除き、2等分する。ぬかと合わせてポリ袋に入れ、軽く揉み込んだら冷蔵庫で一晩寝かす。
2.砂肝のぬかをさっと洗い流す。3cm幅に切った長ねぎと砂肝3切れを竹串に刺し、グリルで10分ほど焼く。

豚のコクがさらに深まる満足感。

豚肉のぬか漬けソテー

ぬかは肉全体に均一に塗る。もも肉以外にヒレやロース、バラ肉でも美味。

【材料(2人分)】
豚もも肉200g
ぬか床大さじ3
油大さじ1

【作り方】
1.豚肉を一口大に切り分けてそれぞれにぬかを塗り、保存用袋に入れて軽く揉む。その後、一晩冷蔵庫で保存する。
2.1を取り出してさっとぬかを洗い流す。フライパンに油を入れて弱めの中火で熱し、豚肉を並べて焼く。2分ほどしたらひっくり返し、裏面も2分ほど焼いて取り出す。

臭みが消えて骨までやわらかい。

いわしのぬか炊き

ぬかは煮汁に溶かすようにして加える。加えた後は焦げやすくなるので注意。

【材料(2人分)】
いわし4尾
ぬか床大さじ3
A[しょうゆ・砂糖・酒各大さじ4、みりん大さじ2、酢小さじ2、水1カップ、しょうが1かけ]

【作り方】
1.いわしは頭と内臓を取って流水で洗い、水気を拭き取る。しょうがは薄切りに。
2.鍋にAを入れ、1を並べ入れて中火で加熱。沸騰したら弱火にし、20分ほど煮る。
3.ぬかを加えて5分ほど煮る。煮汁が半分くらいになったら火を止める。

『クロワッサン』1029号より

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