歯科医師に教わる、正しい歯の磨き方・最新版。
撮影・青木和義、黒川ひろみ 文・黒澤 彩 イラストレーション・日江井 香
力を入れず、角度を変えながら小刻みに磨きます。
1.歯ブラシは鉛筆を持つように握る。
まずは手に力が入りすぎないように脇をしめ、鉛筆を持つように中指、人差し指、親指で軽く支える。力を入れすぎなければ、手のひら全体で軽く握るかたちでもいい。手の甲に歯ブラシの毛先を当てて動かし、くすぐったく感じる力加減をキープして磨く。
「歯ブラシを濡らして使う人が多いのですが、実はこれは間違った習慣。乾いた歯ブラシに歯磨き剤をつけたほうが、泡立ちすぎず、長い時間磨くことができます」
2.一筆書きのように磨く順番を決める。
磨く順番に決まりはないものの、一筆書きの要領で上下の内外、奥歯を順に磨いていくと、磨き忘れがなくなる。
「どこからスタートしても構いませんが、強いていえば、“気になるところ”から磨き始めるといいでしょう。疲れるといつも疼くところ、歯周ポケットが深いところなどを最初に丁寧に磨きます」
磨き残しやすいのは、奥歯の後ろの面と、上下の歯の内側。とくに下の内側は舌が邪魔になるので、上手に舌を動かして磨こう。
3.45度磨きと直角磨きを1本の歯につき20回以上行う。
「1本の歯につき、直角磨きを10回、45度磨きを10回の計20回。歯の複雑な形を考えれば、これでも足りないくらいです」
ブラシを軽く握って、力を入れずに小刻みに動かすのがポイント。
「歯を塗り物の器だと思ってみてください。そうすると傷つかないようやさしく、角までムラなく磨こうと意識できるはず」
4.すすぎは1回まで。
「フッ素が流れてしまわないように、すすぎは15mlほどの少量の水で20秒。1回で充分です」
先述したように、歯磨きの目的の一つはフッ素を供給すること。泡や香味(または、研磨剤)が残るようなら歯磨き剤自体を泡立ちが弱くマイルドな味(または、細かい研磨剤)のものに変えてみるとよい。
『クロワッサン』1016号より