日本人には、むし歯をつくる「ミュータンス菌」が多いのだという。
「とくに女性は、エナメル質の硬度が低く、男性よりもむし歯になりやすい傾向が。毎日のケアが大事です」
と、歯科医師の倉治ななえさん。さっそく口腔ケアの基本、歯磨きの方法を見直してみよう。
歯磨きの目的は大きく2つある。プラーク(歯垢)の除去と、歯磨き剤によるエナメル質への充分なフッ素の供給だ。
「プラークは単なる食べかすではなく細菌のかたまり。口内のミュータンス菌が糖などを分解してプラークを形成し、歯のエナメル質を溶かしてしまいます。これがむし歯になるメカニズムです」
よく見てみると、口の中は複雑。きちんと歯を磨くには工夫が必要なことがわかる。歯は歯茎に向かってすぼんでいて、歯ブラシを当てづらい歯と歯茎の境目の近くほど歯垢が残りやすい。しかも1本1本形が違うので、すべての面にブラシを直角に当てて磨くには、少なくとも5分はかかるはず。フロスも含めて10分ほどを目安に。
食後はできるだけすぐに歯磨きをすること。外出先などでブラシを使えない場合は、水でぶくぶくうがいをして、口腔ケア用のウェットティッシュでプラークを拭き取るだけでも意味がある。
「キシリトールガムも常備しておきたいですね。ねばねばのプラークをさらさらにする効果があるので、食後や就寝前に噛むといいでしょう」