足の専門病院に聞いた。かかとの乾燥の原因と徹底ケア。
撮影・土佐麻理子 文・鈴木智子 イラストレーション・イオクサツキ
[かかとの乾燥]
他の部位と構造が違う足の裏は、角質化しやすく乾きやすい。
見てがっかり、触るとなお気分が落ちるかかとの乾燥。それはかかとの構造にも理由があるという。
「かかとを含む足の裏はほかの部位の皮膚と構造が違います。ほかの部位の角質の厚さが約0.1ミリなのに対し、かかとは約1.5ミリと分厚く、その分乾燥しやすい。それに体重を支える場所でもあるので、肥大化しやすく角質が固くなりやすいのです。また、毛穴や皮脂腺はなく、汗腺が多いため、汗をかきやすい。汗は水分の蒸発を促すのでこれも乾燥の要因に」
冬はブーツを履くことも多い。蒸れるとさらに汗をかき、水分の蒸発が増えてしまう。また、
「加齢により、汗腺の密度が低下し、皮膚が薄くなり、ターンオーバーが低下し、コラーゲン繊維の肥厚などで足の脂肪が失われて弾力がなくなる。これらも乾燥などのトラブルにつながります」
かかとはエイジングが顕著に表れるパーツ。予防には構造に合わせたケアを習慣化させることが大事。
「固いかかとはまず溜まった角質を除去し、保湿剤が浸透しやすい状態にします。そのうえで、すねと同様、化粧水でうるおし、専用のクリームで保湿を。角質化が進んでいる場合は代謝を促す尿素配合のクリームがいいでしょう」
今後は角質が溜まる前に、2週間に1度の頻度で角質ケアをプラスして。
「ケアが不充分だと角質はどんどん固くなります。角質ケアと保湿である程度の弾力を維持できるので、お手入れは怠らないよう心がけましょう」
足の裏の角質層はこんなに厚い。
上が足の裏。体の中で最も角質層が厚いといわれる。さらに、年齢を重ねるごとに表皮部分が固くなり、脂肪が失われていく。
角質を優しく除去するスムーザー&スクラブ。
しっかりうるおう、かかと専用の保湿剤。
こちこちにひび割れたかかとには尿素入りを。
水分・油分をたっぷり補給するのが、かかとケアの基本。
菊池 守(きくち・まもる)さん●下北沢病院院長。日本初の足の総合病院院長として国内では少ない足病学の普及に尽力。著書に『100歳までスタスタ歩ける足のつくり方』(アスコム)が。
『クロワッサン』1010号より