一方、お金を手放し、必要なだけ分け合う意識でいると、「『誰かが助けを必要としていて、自分には助ける力がある』という理由だけでひと肌ぬぎたがる人がいる」と著者は請け合う。実践編にはそうした哲学に沿う生活の知恵が詰まっている。この先何が起こっても大丈夫と思えるのは、絶対こちらの知識のほうだ。
「そもそも彼は、人間中心主義を疑っています。動植物や微生物など、すべての生き物を尊重して、人間も生態系と共存すべきだと」
生態系という恩恵の連鎖の中、人間の都合で自然を好きにしていいはずがない。効率的な金儲けのために、きれいな空気、新鮮な水、肥沃な土壌を犠牲にして、人間は生き続けられるのか? その問いかけは、現実問題として胸に響く。
「私自身、派遣社員だったときは、自分の時間を売ってチャリンとお金が入るという意識が染みついていて、時間の無駄は損だと感じていました。