「別々の街に生まれた男女が出会って夫婦になること自体、もうドラマチックですよね。地方出身者同士の僕らも、東京に出てこなければ出会えなかったわけだし」
本書のなかでたびたび触れられるのが、 “子どもを持たない選択” について。「子どもを作る気がない」という自分の意思を尊重してくれたことが、妻との結婚の背を押した、と松尾さんは書いている。
「忸怩たる思いはありますよ。動物の本能として欠落した部分を自分に感じるし、妻の前に付き合っていた人とはそれで揉めて別れることになって、俺はダメな人間だってすごく落ち込んで。克服しようと頑張ったこともあるけど、結局は吹っ切れずに悩み続けることを選んだ。つがいになりながら子を作らないっていう選択は、全然動物的じゃなくて、ある意味すごく人間だなぁとも思いますね」