行動を共にするのは同じく金持ちの上級生や、8分の1ユダヤ人のピアニスト、父の工場で働く従業員の息子といった面々。
「調べてみると、ナチ上層部は人々を弾圧しようとしたものの、現場レベルでは温度差があったようです。この頃のドイツにはすでに20世紀型の消費文化があり、一方で強固な社会的基盤もあった。ナチはその間に入ってしまったかたちで、どちらも崩せなかったんです。国民の人間性を変えようとして、結果、失敗したのですが、そういうときにこそ人間の本能というものは強く残るんだな、という印象を書いていて持ちました」
生意気に遊びほうけているエディは鑑別所に送られるが、出所後、海賊版のレコードを大量に作って売りさばく。悪化する戦況にあって、なんとも自由な行動だ。