引っ越しとともに、しばらく遠ざかってしまっていた欲求に再び火をつけたのが、書道雑誌『墨』からの連載の依頼だった。
「書くのなら“漢字”を、とすかさずリクエスト!(笑)。教えてくださった大東文化大学書道学科教授の河内君平先生は、とても優しい方で学究肌。最初はごくごく簡単な手習いのはずだったのに、どんどん難しいほうへと導いてくださり……。様々な文字に接することができ、有意義な2年間でした」
硯選びから始まり、般若心経、王羲之、顔真卿、藤原行成、空海、平塚らいてう、壺井栄などの書体に次々と挑戦していった酒井さん。本書の写真では、毎回、真剣ながらも心から楽しんでいる様子だ。