「親を介護するというと、自宅で24時間つきっきりで世話をしなくてはいけない、と思っている人も多いと思います。その結果、行き詰まって自分が倒れて親より先に逝ってしまうという人を何人か見ています。そうならないために、1日の数時間は、ちょっと逃げることが必要だと思うんですよ。ネットでつぶやくのもいいし、誰かと話をするのもいい。それに施設に預けるということも広い意味での介護だと思います」
光江さんは、転んで膝の裏側の骨を折り、2カ月入院したことで認知症が進んだ。用を足した後、お尻を拭いた形跡がない、お風呂に入りたがらない……。
「汚れたパンツがタンスの引き出しに詰め込まれていたのを見たときには驚きました」
仕事の合間をぬって自宅へ戻り、母と一緒に昼食をとっていると、「働いとらんとに、なんで飯やおかずば買うてこられるとか。さてはワイ(お前)はウチの財布から金ば盗みよっとやろ」と言われ、ついカッとなって怒鳴り、拳を振り上げたこともある(振り下ろさなかったけれど)。
「正直、死ねばいいのに……と思ったこともあります。こんな思いを息子にさせてまでどうして生きているんだろうって。でも最後に思ったのは生きていてくれてありがとう、でした」