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『学校が教えないほんとうの政治の話』斎藤美奈子さん|本を読んで、会いたくなって。

政治的「ひいきのチーム」はありますか?

さいとう・みなこ●文芸評論家。1956年、新潟県生まれ。’94年、『妊娠小説』でデビュー。2002年、『文章読本さん江』で第1回小林秀雄賞を受賞。「地方選挙は生活に密着した公約もあってわかりやすいから、政治参加しやすいかもしれません」

撮影・森山祐子

「若者の政治離れを嘆く大人たちの声をずいぶん前から聞くけれど、そもそもなぜ、若者は政治に関心を持てないでいるのでしょうか」

その理由を見つけられないまま、大人たちが若者に向かって“選挙はあなたたちの将来を左右するものだから行くべきだ”などと言っても説得力はない。斎藤美奈子さんはそう考えている。

大きな話題になった“18歳選挙権”。今年7月の参議院議員選挙で初めて適用された。18、19歳の投票率は45・451。20歳代はさらに低い301台。全世代平均の投票率は54・71だから、若者世代の投票率は平均を下回っている。

「政治に関心を持たなくても、幸せに暮らしていけるのなら、それでもいいと思います。そうではなくて、日常生活の中で困っていることがあるのに、それをどう解決していいのかわからず動けないままでいるという場合も多いのではないでしょうか」

つまり、自分が陥っている苦境を、有権者の立場から政治の問題としてとらえ、行動することができるはずなのに、政治に対してどうアプローチしていいのか、わからないままでいるということだ。これは若年層に限った話ではないだろう。

「難しく考える必要はありません。政治に興味を持っている人をみていると、党派性があるんです」

党派性というと、難しく聞こえるが、斎藤さんはそれを『ひいきのチーム』に例える。

「政治に関心を持てないのは、ひいきのチームを持っていないからです。野球やサッカーと同じで、ひいきのチームがないと、試合を見ても面白くありませんよね。政治についても、ひいきのチームを持っていないと、自分に不利益をもたらす政治家や政党を支持することにもつながりかねません」

本書は、政治に中立はないという視点で、体制と反体制、資本家と労働者、右翼と左翼、保守とリベラルというふうに対立する概念を、日本の政治史をたどりながらわかりやすく説いている。

「なぜ、自分がこんな目に遭わなければならないのか。どうしてあの人はひどい境遇に置かれているのか。そんな私憤や義憤を感じたときに、人は政治的になります。自分の憤りを解消してくれそうなのは、どの政党なのか。政治家なのか。共感できるのはどっち?」

そう考えたときに政治に無関心でも中立でもいられなくなる。

「これが政治参加への第一歩だと思います」

ちくまプリマー新書 820円
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