#07 上っ面コミュニケーションにさよなら!
3つのループでいい会話をしよう。
日常の小さな気付きから、社会問題まで。行政書士である筆者が、これまで相談を受けた経験と世の中の動きを元に、「夫婦を中心として人間関係を整える」ヒントを伝える連載コラムです。
先日、セミナーでお話しした際にある女性からこんな質問をされました。
「パートナーが無口であまり多くを語らない人なのですが、そういう人とはどうコミュニケーションを取ったらいいのでしょうか」。
例えば、「今日、会議に上げた企画が通った」という一言。いつどこで、だれが何をした、という出来事を単に並べて伝えるだけものです。夫がこういう発言をすると、この文章を受け取った妻は「あらそう! それはよかったね」などのちょっとした共感をあらわす言葉を自然に発して会話のキャッチボールをスタートさせます。では逆に、「今日、近所に出来たイタリアンに行ってみたのよ」と妻がいった場合、夫はどう答えるでしょうか。ここでありがちなのが「へー」とか「ふーん」という返答。今の話し、一応耳には入ってきたよ!みたいな受け答えです。
課題を投げかけられている会話ではなく、男性にとってはそうたいして中身のない会話にも聞こえるので、答えが「へー、そうなんだ」であってもさして問題はないのです。こうして妻は、夫に話しかけても返答がいつもおんなじ…と会話を諦める(のかも)。
女性は、一般的には話し好きという傾向があるのに対して、男性は、自分のことをあまり話さない人は多いかもしれません。女性の会話はその場を楽しむものでもあり、たとえ「相談」のスタイルを取っていても、本当はそのアドバイスなどは求めておらず、しかも男性からしたらやっかいなことに、女性の中にはすでに結論は出ていたりして。
また、女性同士の会話では、「そうそう、そうなのよ!」とか「うんうん、わかるわ~」と相手に「共感」を求める会話を沢山するという傾向がありますね。中身もたいして重要でないことも多いし、質より量!という会話もしばしば。
一方、男性は自分の気持ちを人に伝えるのがちょっと苦手な人が多い。男性は解決思考が強いと言われますが、「この問題にどう対処するか」という部分にフォーカスされるので、そこには「感情」という曖昧なものはあまりない方がいいと考えます。なんと言っても中身が重要!だから、不要なことは口にしないし、感情を伝えるなんてことは、女性ほど得意ではないのでしょうね。
そんな男女の違いも考えながら、人と人とのコミュニケーションを分解してみると、だいたいが3つの形に分けられるのではないでしょうか。
1.事実の通知
2.感情のやり取り
3.スキンシップ
みなさんがパートナーと普段しているコミュニケーションは、どこの比重が高いでしょうか。
「ふーん」という答えはコミュニケーションのどこにも当てはまりませんね。だから続かない。この3つはそのまま順に「コミュニケーションの深さ」も表しています。つまり、事実の通知は会話の入門編。ただし、相手に共感を求めるための発言をしない男性にしてみれば、単に事実を通知することすら必要がないと思っているのかもしれません。だから、コミュニケーションの入口である事実の通知もしない。そうするとそもそも会話が始まらない(笑)。では、どうやってコミュニケーションしましょうか。
無口なパートナーに無理やり話をさせる必要はないですし、話をしないことが悪いわけでは決してありませんが、2人の関係をいいものにしていくためには、相手の今を知る=アップデートが絶対に必要です。だから会話の入口を作ります。まずは、「話したい」と思ってもらえるようにしなくてはなりません。
人は誰しも、自分のことを本当は分かってもらいたいと思っているもの。相手が「こんなことがあった」と話したら「聞いてもらえた」という実感を持てるように、3つの形を意識しながら、会話をリードしてみましょう。ステキな会話には、事実の通知から感情をやりとりし、スキンシップしながらまた事実の通知、感情の…というループがあります。大事なのは、小さなことでもコミュニケーションを続けてみること。
ちなみに、最後のスキンシップは会話そのものではありませんが、立派なコミュニケーション手段です。手を繋ぐ、肩を抱くというところから始まる、いろんな感情が大きく動く最大のコミュニケーション。会話の入口である事実の通知ができなければ、感情のやり取りもできず、感情のやりとりができないと、スキンシップはなかなか生まれません。
とはいえ、入門編の「事実の通知」から、「感情のやり取り」、という次の段階に行くためには、やはりちょっとした工夫も必要そうです。特に男性はね。
その方法についてはまた次回に!
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