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【シンプルな暮らしかた】できることをコツコツ繰り返し、60歳で理想の住まいへ。

中古マンションをコツコツとリフォームして理想の住まいを実現した、布作家の山中とみこさん。親の介護が一段落し、1ヵ月に5日だけ展示会を開くブランドを立ち上げたのが約10年前。

「友人やウェブ登録した人に案内を出し、一日数人を自宅アトリエに迎えて、ゆっくり服を見てもらうスタイルです。ところが夫が定年になり、自宅にいることが多くなったんです」

展示会に来る女性も夫も居心地が悪いのではないかと思った時、日本家屋を改装した、作家の工房も集うギャラリー・カフェで8畳のスペースを借りることになったそう。

「制作もあるので、やはり1ヵ月に1週間だけの店がちょうどいい。そこなら長いこと閉めても周りの仲間がフォローしてくれます」

山中とみこさん・山中利充さん夫妻。とみこさんはデザインから縫製までを自身で手がける『CHICU+CHICU5/31』を2003年にスタート。4月に埼玉・川口市内に店をオープン。

山中とみこさん・山中利充さん夫妻。とみこさんはデザインから縫製までを自身で手がける『CHICU+CHICU5/31』を2003年にスタート。4月に埼玉・川口市内に店をオープン。

ただ、一気にここまで来たわけではなく、少しずつ積み重ねた結果が今につながっています。その芯には、山中さんが育んだ理想の暮らしの姿が。

「20代から無農薬野菜を個人で取り寄せているグループに参加させてもらい、食材にはお金をかけてきました。食にこだわる人たちは、器も住まいもおしゃれ。シンプルな野菜料理も器で素敵になると知り、蚤の市を見に行ったり、小道具店に行ったり」

そこで培った山中さんの好みは、素材のある味わいある姿が魅力の生活骨董。値段は自分なりの基準があり、それより高ければ諦めたそう。同じことが住まいにも言えます。

「このマンションは18年前に中古で購入。豪華な新築や過剰な設備には興味がなくて、簡素なこの物件こそ私たちの好み。和室の3LDKでしたが、将来的にこうリフォームしたいという構想を当初から持っていました」

最初は入居5年目に友人と2人で和室とダイニングを一続きの板の間に、壁も床も白く塗ったといいます。

50代になり、個室を使っていた2人の息子が次々と独立すると長男の和室を夫の部屋にし、次男の和室はアトリエに改装。その後、L字キッチンを設置し、リビングの床を木肌にして収納棚も作ってもらう大きな工事を入れました。

予算ができたら、それで可能なことを繰り返し、すっきりシンプルでいて温かみのある山中さんらしい空間が完成。

今回はそんな山中さんの理想の住まいを訪ねました。少しずつでいいから焦らず妥協せず、予算の範囲内でという考え方はぜひ見習いたいものです。

シンプルで温かみのある空間づくり

和室とダイニングの壁を取り払い大きなリビングに。カーテンなしで、眺めと光を楽しみます。床は建築用合板のままで予算削減。

和室とダイニングの壁を取り払い大きなリビングに。カーテンなしで、眺めと光を楽しみます。床は建築用合板のままで予算削減。

独立した次男の部屋は山中さのアトリエ兼寝室に。

独立した次男の部屋は山中さのアトリエ兼寝室に。

長男の独立後、夫の個室にした部屋。音楽好きの趣味が伺えます。

長男の独立後、夫の個室にした部屋。音楽好きの趣味が窺えます。


リビングとアトリエの壁の下側を抜いて風通しよく、部屋に合う存在感の白い服などは見せる収納。

リビングとアトリエの壁の下側を抜いて風通しよく、部屋に合う存在感の白い服などは見せる収納。

押入を改装して古い布を収納。

押入を改装して古い布を収納。


 

味わいのある姿が魅力の生活骨董の数々

食器棚の中は色柄入りの器。

食器棚の中は色柄入りの器。

棚の上や桟に味のある古道具がディスプレイ。

棚の上や桟に味のある古道具がディスプレイ。


無地の白系の器はガラス戸棚に。

無地の白系の器はガラス戸棚に。

ボタンはシャーレや瓶に仕分け。

ボタンはシャーレや瓶に仕分け。


 

『クロワッサン』895号(2015年2月25日号)より

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