「顔のたるみを気にするなら、フェイスマッサージに時間をかける前に、頭皮のむくみやたるみをケアするのが効果的です」とは、ヘッドスパ美容の第一人者、山本幸恵さん。
「フェイスラインのたるみに気づいている人は多いと思うのですが、その時点で頭の筋肉は相当凝っていますし、むくんでいるはずなんです」
複雑な表情を作るのに使われる顔の表情筋は約30。これらの衰えが、たるみやほうれい線など老け顔を作る要因。そしてその表情筋を支えているのが頭の筋肉なのだ。
「頭の筋肉に張りや弾力があれば、顔の筋肉をググッとリフトアップして、たるみを防ぐ効果が。逆を言えば、頭と顔の筋肉は地続きで繫がっているので、たるんだ顔の筋肉を直接刺激したり、マッサージで血流を改善させても、頭の筋肉が凝り固まってむくんだままなら、思うような効果は得られないのです」
山本さんが提唱しているのは“深頭筋マッサージ”。頭の筋肉をしっかりと捉え、頭のコリやむくみを意識しながらほぐすマッサージ法だ。
「疲れやストレスは頭の筋肉の深部にたまりやすく、血流を滞らせます。これがコリやむくみの原因。筋肉を手でしっかり捉えてほぐせば、血液やリンパの流れが整い、顔の筋肉を引っ張り上げる弾力が復活します」
頭の筋肉のコリには、その人の“考えグセ”も影響
頭の筋肉は皮膚に密着しているので、マッサージのコツを押さえれば自宅でも日々のケアに取り入れられる。
頭の筋肉の凝りやすい部分は、前頭部、頭頂部、側頭部(左右2カ所)、後頭部と5カ所に分けられる。これまで3万人に及ぶ人の頭に触れてきた山本さん流の解釈も興味深い。
「頭はその人の考え方のクセがよく分かります。前頭部が凝りやすい人は、心配事が多かったり、常に思考がフル稼働しているタイプ。頭頂部のコリは仕事人間に多く、いつもロジカルに物事を考えやすい人に見られます。側頭部は、ストレスや何かを我慢していると凝りやすい傾向が」
顔の印象を左右する様々な部位。コリをほぐすと具体的な効果が。
「額の筋肉と繫がっている前頭部をほぐすと、額の横ジワやまぶたのたるみを解消できます。頭頂部は額の筋肉を引き上げている部分なので、額の横ジワに働きかけられます。側頭部の筋肉をほぐせば、ほうれい線やフェイスラインのたるみ、口角の下がりに効果的。そして大事なのが後頭部。実は、後頭部は前頭部をしっかりと引き上げて固定している筋肉です。ここのコリが、眼精疲労はもちろん、額やまぶたのたるみ、顔全体のむくみにも影響しています」
とは言え、頭皮のむくみやコリは自分ではなかなか自覚しにくい。そこで今回は自分でできるチェック方法を2種類教えてもらった(下記)。
「頭がむくんだり凝っているなら、首や肩も凝っています。深頭筋マッサージで頭をほぐすと、同時に頭以外の体のコリが解消されることも」
朝、昼、夜とそれぞれのタイミングに合わせた、取り入れやすいマッサージ法を次回より紹介する。