「あれ、おかしいな」はサインです。そのイライラや物忘れなど、認知症の初期症状かも?
イラストレーション・竹井晴日 文・黒澤 彩
性格変わった?
イライラして怒りっぽくなるなどの変化は、前頭葉の働きが弱くなることが原因。「我慢すべき」などの行動を抑制するような感覚がなくなり、感情のままに振る舞うことが増える。「認知症による人格の変化は、身近な家族や介護者を苦しめることが多い症状といえます。医療機関への相談をおすすめします」(脳神経内科医・霜田里絵さん)
攻撃的になりやすい
何か意にそぐわないことを言うと、思いがけないほど強い口調で言い返してくるなど、人格が攻撃的に。相手への配慮ができない。
気持ちを抑えられずイライラ
イライラすることがあっても表に出してはいけないという抑制が利かなくなり、苛立ちや怒りをあらわにするように。我慢ができない。
おしゃれに無頓着になる
いつも身なりを気にしておしゃれ好きだった人が無関心、無頓着になるのは、サインの一つの可能性が。外出時などにチェックを。
人付き合いを避けがちに
約束してもそれを守る自信がなくなったり、億劫に感じることから人付き合いそのものを避ける。他人からは気づかれにくい。
すぐ「盗まれた」と言う
探し物が見つからず、自分でしまった記憶自体がないため、人のせいにする。本気で盗まれたと思い込んでしまうことも。
当たり前にできたことができない
「物事を計画したり、段取りよく行動することができなくなる状態は、認知症の主な症状の一つである実行機能障害に当たります」。生活習慣や職能として、ごく自然にできていたことができなくなるので、本人もショックを受けて落ち込みやすくなる。できないことを強調せず、さり気なくサポートしたい。
水道の栓を閉め忘れる
水道の栓をきちんと閉める、家の戸締まりをするなど、毎日の生活習慣としてできていたことができなくなり、その自覚がない。
一度に複数のことができない
脳の機能低下によって、マルチタスクができなくなる。いくつものことを同時に言われるとパニックになって何もできない。
料理がワンパターン
新しいレシピに挑戦するのが好きだったのに、気力をなくしてしまう。おしゃれと同様、好きなこともしなくなるのがサイン。
旅行の計画を立てられない
以前は旅行好きで計画性があったのに、それができなくなる。外出時のスケジュールなども段取りよく考えることができない。
ATMの操作ができない
今までは画面の指示に従って一人でできていたのが、なぜかできなくなる。公共料金の未納などがあって初めて気づくことも。
空間を把握できない
家を出て帰り道がわからなくなってしまうのは、空間認知能力の衰えによるものだ。「立体的な3Dでの認識ができなくなるといわれているので、大きな駅や商業施設のような複雑な構造の場所ほどパニックになりやすいのではないでしょうか。事故になる前に、小さなサインに気づくことが大切です」
いつもと違う改札で迷う
ほんの少しでもいつもと違うところに出ると、物理的な空間を把握できないので、やみくもに動いて迷ってしまう。
車庫入れが下手になる
以前は上手だった車の車庫入れがなかなかできなかったり、斜めに駐車したままだったり、車を擦ることが増える。
階段が怖くなる
ごく普通の階段でも、段の高さや奥行きを把握しにくくなって戸惑う。すたすたと進めず上り下りが極端にゆっくりになる。
今の状況がわからない
季節、日付、時間、場所など、今、自分がいる状況がわからなくなり、さらに重度になると、家族のことがわからなくなるといったことが起こる。「医学用語で〈見当識障害〉というのですが、この症状が出ているなら、だいぶ進行していると思ったほうがいいでしょう。何も治療をしないとさらに進行する可能性も」
身近な人がわからない
同居する家族や毎日お世話をしてくれる介護スタッフに対して、知らない人のようによそよそしく接したりする。
季節外れの服を着ている
今がどの季節かがわからなくなり、服装が季節に合っていなくても意に介さない。冬に半袖、夏に厚手のコートなどを着てしまう。
何年何月何日が言えない
認知症を診断する際にも聞かれる質問。日付がすぐに出てこないというより、日時の概念がわからないと見当識障害の症状を疑う。
社会的なトラブルに繋がりそうなら受診をためらわない
挙げられたサインに心当たりがあれば受診のタイミング。とくに後半の「空間を把握できない」「今の状況がわからない」のカテゴリーに該当するサインが見られるなら、すでに認知症で初期段階を超えている可能性が高い。
「ほかにも対人関係や外出時などに支障が出ることがあると思います。約束したこと自体を忘れてしまう、待ち合わせができない、道に迷って帰宅できない、お店で支払いができないなど、社会的なトラブルが起きたとき、起きそうだなと感じたときは、様子見せずに医療機関を受診しましょう」
家族が準備しておくこと
初診の際には、当然ながら症状を医師に伝えなければならないが、本人に認知症の検査だということを知られたくない場合には? 「事前にメモ書きを用意して、受付で本人に知られたくない旨を伝えてメモを渡してください。メモに書く内容は、一番困っていることを中心に。日記のように詳細な記録を渡されても、その場で目を通すことができないので、簡潔に、紙1枚程度にまとめるのがコツです」
病院ですること
認知症の程度を診断するテストに加え、血液検査、MRIでの画像診断を行うのが通例。「診断テストは、世界で幅広く使われているものが2〜3種類あり、どの病院でもそのどれかを採用していることが多いです。共通する内容は、簡単な計算、日付や場所などがわかるかという見当識、新しいことを覚えられるかなどです。予習してしまうと意味がないので、テスト内容を事前に調べる必要はありません」
『クロワッサン』1174号より
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