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『ルーヴル美術館展 ルネサンス』国立新美術館──レオナルド・ダ・ヴィンチの傑作に会える

青野尚子のアート散歩。今回は、ルーヴル美術館から選りすぐった約50点の絵画や工芸が並ぶ展覧会。中でも見逃せないのがレオナルド・ダ・ヴィンチの《美しきフェロニエール》。ルネサンスという揺れ動く時代背景が生んだ圧倒的な美を堪能できる。

文・青野尚子

レオナルド・ダ・ヴィンチ《女性の肖像》、誤って付された別称《美しきフェロニエール》1490-1497年頃 パリ、ルーヴル美術館 ©GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Michel Urtado
レオナルド・ダ・ヴィンチ《女性の肖像》、誤って付された別称《美しきフェロニエール》1490-1497年頃 パリ、ルーヴル美術館 ©GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Michel Urtado

エジプト美術やオランダ、スペイン絵画などのほかに充実したルネサンス美術のコレクションを誇るルーヴル美術館。その至宝から選りすぐった約50点の絵画や工芸が東京にやってくる。

中でも見逃せないのがレオナルド・ダ・ヴィンチの《美しきフェロニエール》だ。謎めいた眼差しでこちらを見つめる女性には《モナ・リザ》にも負けない吸引力がある。闇の中に浮かび上がるなめらかな頬のふくらみや、顔や体の繊細なグラデーションがしっかりとした量感を思わせる。

アルブレヒト・デューラーの版画には彼のイニシャルであるAとDのモノグラムが描きこまれている。このころの画家は署名をしないことも多かった。デューラーは美術史上初めて、著作権を主張する裁判を起こした画家とされている。ボッティチェリは聖母マリアや天使の服のドレープの下にある身体のフォルムを的確に表現している。クラーナハの《三美神》では裸身にまとった見えないぐらいの薄いベールがエロティックさを強調する。

ルネサンスの時代は金融などに携わった富裕な市民層の台頭を背景に、一神教であるキリスト教の神を至高のものとする教会の絶対的な支配が揺らいだ時期だった。本来多神教である古代ローマ・ギリシャ文明への憧れや、神だけでなく自立した個人を重視する傾向はのちの近代を予告する。揺れ動く時代背景が生んだ圧倒的な美を堪能できる。

ルカス・クラーナハ(父)《三美神》 1531年 パリ、ルーヴル美術館 Photo ©GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Mathieu Rabeau / distributed by AMFDNPartcom
ルカス・クラーナハ(父)《三美神》 1531年 パリ、ルーヴル美術館 Photo ©GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Mathieu Rabeau / distributed by AMFDNPartcom

『ルーヴル美術館展 ルネサンス』

開催中~12月13日(日) 国立新美術館

展覧会には15~16世紀、ルネサンスの頂点にあたる時期の作品が並ぶ。緻密なタペストリーや本物の動植物から型をとる技法を継承した陶器なども美しい。

国立新美術館(東京都港区六本木7-22-2) TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル) 10時~18時(金・土曜~20時)火曜、11月4日休(9月22日、11月3日、12月8日は開館) 観覧料一般2,400円ほか
 
  • 青野尚子 さん (あおの・なおこ)

    アート・建築関係のライター

    著書に『超絶技巧の西洋美術史』(池上英洋さんとの共著、新星出版社)など。

『クロワッサン』1173号より

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