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足がつる、つまづきやすい…更年期に注意したい筋力・骨量の低下。

〝何となく不調〟が起きやすい更年期以降。
女性の体の中では何が起きている? 原因と対策を内科医の常喜眞理さんに聞いた。

イラストレーション・浅妻健司 文・小沢緑子

筋力、骨量の低下

足がつる、つまづきやすい…更年期に注意したい筋力・骨量の低下。

不快な症状

□ 動くとすぐに疲れてしまう
□ 急に足がつる
□ 立ち上がるときに膝が痛い
□ 何もないところでよくつまずく
□ 電車やバスではすぐ座りたい
□ 肩こりや腰痛がひどくなった
□ ペットボトルのふたが開けづらい

足がつる、つまづきやすい…更年期に注意したい筋力・骨量の低下。

運動機能が低下する最大の原因。

更年期以降、顕著なのが、筋肉の衰えからくる体のトラブル。

「運動不足や生活習慣も関係しますが、肩がこる、すぐ疲れる、よくつまずく、足がつるなどの症状も、加齢による筋肉量の減少と筋力の低下が大きな原因に。腰痛、膝痛などの関節トラブルも、筋肉の支えが弱くなると起こりやすくなります」

この筋肉の衰えを何もせず放っておくと、「筋力が落ちる→疲れやすくなり動くのが億劫→ますます筋力が落ちる」という負のスパイラルが生じ、体の運動機能がどんどん低下。

「ロコモティブシンドロームと呼ばれますが、高齢者が要介護となり寝たきり予備軍になるのも、この悪循環によることが多いです」

骨の老化も見逃せない。

「女性ホルモンが低下すると骨量が減り、骨がもろく弱くなる骨粗鬆症が起こりやすくなります。閉経後3年で急激に骨量が減少するというデータも。自覚症状がないため、つまずいて転んだり尻もちをついた拍子に骨折をして、初めて骨粗鬆症だったことが発覚するケースは多いです」

筋肉と骨の健康を守る対策は、「更年期以降こそ、筋トレを取り入れてほしい」という。

「筋肉を維持する=骨を守ることにつながります。筋トレといってもハードに鍛えるのではなく、家でもできるスクワットで充分。下半身を効率的に鍛えられます。誰かと一緒にウォーキングもおすすめですが、ガタつき始める関節に負荷をかけないよう、平地で」

【要注意!】骨粗鬆症

対策は、閉経前後に整形外科などで骨密度検査を。以後、5年ごとに検査をして骨量をチェックするのがベスト。運動はスクワットのほか、かかと落としも効果的。食事は骨の材料となるカルシウムやその吸収を高めるビタミンDを摂ることも意識したいが、特定の食品に偏らず、さまざまな食品からバランスよく、が大切。

足がつる、つまづきやすい…更年期に注意したい筋力・骨量の低下。

40代、50代は心も体も寛容性がなくなっている。気になる症状が2週間以上続いたら、迷わず受診を。

足がつる、つまづきやすい…更年期に注意したい筋力・骨量の低下。

病気というほどではないけれど、日常的に小さな不快、不調な症状が目に見えて増えていく更年期以降。

「20代、30代と年齢が上がるにつれ、体の回復を促す成長ホルモンの分泌が低下していきます。さらに、更年期になると追い打ちをかけるように、女性ホルモンの分泌が激減。次第にムリが利かない体になってきますし、不定愁訴と呼ばれるさまざまな不快な症状が起こりやすくなります」と、女性の体の健康を守る“家庭医”として提言も行う、内科医の常喜眞理さん。

閉経を迎える50代になると、今度は“加齢”の影響も大きくなる。

「加齢で体や脳が老化し始めると、外部からくる変化や刺激に素早く対応する体の『寛容力』も次第に失われていきます。若い頃は放っておいてもおさまった症状も体が耐えられなくなり、症状が頻繁に起こったり長引いたりするようになるのです」

ただし、加齢による体の変化を否定的にとらえる必要はない。

「遅かれ早かれ、誰にでも加齢による老化は訪れます。その変化を慌てず恐れず受け止めて、体の次のモードに向けて備えていけばいいのですから」

対策は、どんな不調も生活習慣を整えるためにバランスのいい食事、適度な運動、充分な睡眠をとることが基本。

「ただ、小さな不調といっても2週間以上症状が続く場合は、クリニックを一度受診を。症状によっては検査をしたり、長引かせないように薬などを使って対処していくことができます」

  • 常喜眞理

    常喜眞理 さん (じょうき・まり)

    「常喜医院」院長

    内科、皮膚科の診療のほか、慈恵医大新橋健診センター診療医長、産業医として活躍。著書に『オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』等。

『クロワッサン』1104号より

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