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醤油の健康効果、賢い食べ方、種類ごとの特徴【発酵食大図鑑】

【麹菌】【酵母】【乳酸菌】
香りのよさとアミノ酸の旨みが食事をおいしくする。

撮影・青木和義、黒川ひろみ 文・韮澤恵理  

旨みと殺菌力とで健康的な食を支える。

醤油は麹菌によって分解されたアミノ酸が生み出すおいしさが特長の調味料ですが、一方で塩分も多く、たくさん摂れば健康になるという食材ではありません。

食事のバランスを整えるために味や香りを活用しましょう。たとえば、青背魚は脳の働きをよくしたり、血栓を予防する脂質を含み、生で食べるのがいい食材ですが、生臭みがあるのも事実。醤油をつけることでおいしく食べられるのなら、健康に役立つわけです。

塩分の摂りすぎを防ぐには、舌に触れる面にだけ醤油をつける、調理の最後に加えることで、素材の中にまで染み込ませないといった工夫も大切です。

一般的な濃口醤油のほか、地域ごとに味わいの異なる醤油があるので、食卓に変化をつける一助に。

普通は搾ったあと加熱して、菌の働きを止めますが、加熱していない「生醤油」はさらりとして香りがいいのが特徴。減塩醤油は血圧の気になる人におすすめ。目的に合わせて選びましょう。

(注目の健康効果)

濃口醤油
濃口醤油

●食材をおいしく
おいしさと健康は無関係に思われるが、香りや旨みの力で、苦手だけれど体にいい食材が食べやすくなれば、間接的に健康に貢献。

●減塩の手助け
塩分は、塩、醤油、味噌など、調味料から多く摂るけれど、塩に比べ、圧倒的に旨みの多い醤油は、塩分の総量を減らす手助けに。

●殺菌力と保存性
醤油には強い殺菌力があり、雑菌を減らしたり、腐敗を防ぐ。健康増進以前に、食中毒などの病気から体を守る働きが重要。

【醤油ができるまで】

醤油の健康効果、賢い食べ方、種類ごとの特徴【発酵食大図鑑】

(A)麹菌を加えて一定の温度を保ち、麹菌を繁殖させる。

(B)塩水を加える。

(C)乳酸菌や酵母が加わると醤油もろみが発酵してたんぱく質やでんぷんを分解し、アミノ酸に変える。ときどきかき混ぜて、空気を送り込むことが大切。

(D)醤油の搾りかす。栄養も旨みもたっぷり。

(E)大豆と小麦が分解されてアミノ酸になり、濃厚で深い旨みに。

[濃口醤油]

醤油の健康効果、賢い食べ方、種類ごとの特徴【発酵食大図鑑】

一般的な醤油。大豆と小麦が半々の割合で、香りも味も濃い。肉や魚の臭いを消したり、加熱すると香ばしい香りが生まれる。

[薄口醤油]

醤油の健康効果、賢い食べ方、種類ごとの特徴【発酵食大図鑑】

関西で発達した醤油で色が薄いことから素材の色や香りが引き立つ。麦の焙煎が浅く、丸大豆を使うことでたんぱく質が少ないため淡い色に仕上がる。色は薄いが塩分は強いので注意を。

[白醤油]

醤油の健康効果、賢い食べ方、種類ごとの特徴【発酵食大図鑑】

江戸時代の末期に愛知県で生まれた醤油で、原料は小麦中心。最も色が薄く、発酵や熟成も控えめなので、塩分と甘味を利用する。

[再仕込み醤油]

醤油の健康効果、賢い食べ方、種類ごとの特徴【発酵食大図鑑】

一度できあがった生醤油を加熱せずに再び醤油麹に加えて発酵、熟成させた醤油。手間も時間も二度分かかるが、その分、旨みや色も濃厚。

[たまり醤油]

醤油の健康効果、賢い食べ方、種類ごとの特徴【発酵食大図鑑】

ほとんど大豆だけを原料にして醤油麹をつくる、豆味噌(赤味噌)のたまり汁に近い。香りは薄めだが、とろりと濃厚で色も濃い。

『Dr.クロワッサン 強い腸をつくる、発酵食の摂り方大百科。』(2021年2月18日発行)より。

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