ものづくりのアイデアは素材から生まれる! 手工芸作家の材料の集め方
撮影・太田太朗 文・小沢緑子
日々の暮らしや旅先でキュンときたものが源泉
作品のアイデアが閃くのは、日々の暮らしの中や旅で出合って思わずときめいた瞬間が多い、と堀川波さん。
「“キュンポイント”と呼んでいます。昔から手芸は好きですが、どっぷりはまったのは籐編みがはじまり」
結び石(写真左上)も籐編み作品のひとつで、「旅先でいいなと思って拾った石に籐を結んだら存在感が増して、小さなお守りのような作品に」。
さらに籐編みはかごバッグにも発展。そのバスケットカバーの冬バージョンとして作ったのが写真右上で、「日暮里にある繊維問屋街でファーの反物を見ていたら急にアイデアが浮かんで」。
最新作が「葉」の作品(写真中央)で、「以前タイを旅行中に惹かれた花飾りを思い出して作りました」。
今回、堀川さんが作品を作るうえでインスピレーションを受けた場所や、素材を扱う店に同行。どんな発想で素材を選んでいるのかも必見。
身近にある葉や花も思いがけない作品に
中学校の跡地を活用した会員制屋上シェア農園〈ART FARM IKEJIRI〉。「植物文化を研究する運営メンバーの女性と知り合い、私も会員に。年々身近な自然に尊さを感じているので、こういう気軽に植物に触れられる場があるのはうれしくて」と堀川さん。
毎回さまざまな植物が育っているのを見て作りたくなったのが「葉」の作品。
「タイのチェンマイを旅したとき、街のあちこちに生花を糸でつないだ花細工のお供え(プアンマーライ)が飾られていて、現地で作り方を教えてもらったことがあるんです。そのときの無心に手を動かした気持ちを思い出し、ここの葉や花を分けてもらって針と糸でちくちく。葉に針と糸を通すと、香気がするのも癒やされますね」
ART FARM IKEJIRI
昨夏、旧池尻中学校跡地に誕生した複合施設「HOME/WORK VILLAGE」の屋上にあるシェア型ファーム。“都会で人と自然がつながるサードプレイス”をコンセプトに、野菜や植物を育てたり、イベントなども開催。会員制で月額3,000円〜。
住所:東京都世田谷区池尻2-4-5
営業時間:営業日時は月や天候で異なるため、インスタグラム@artfarm_ikejiriを参照。
その時にしか手にできない素材との出合いを楽しむ
「作品を作り始めてから手工芸仲間が増えて、素材屋さんを教え合ったり、一緒に店を回って探しに行くこともあるんですよ。この籐素材専門店は籐編み仲間から教えてもらいました」
店内に並ぶ籐素材を見ながら「紅籐(べにとう/ほのかな赤みとツヤが特徴の皮付き丸籐)がある! この色とツヤを活かした結び石やアクセサリーを作ってみたい」と、堀川さんは紅籐1kgを購入。ほかにも「珍しい厚びきの皮籐(かわとう/身を厚めに残した籐)もありますね」と、素材チェックにますます熱が入る。
「籐は天然素材なので、その時々でしか手に入らない種類もたくさん。出合いを楽しみつつ、実際に自分の目で色とツヤを見て確認しながら探せるのが専門店ならではの良さですね」
小西のラタン
手工芸や家具などにも利用できる籐素材を扱う専門店。籐はマレーシアなど東南アジアから輸入。丸籐、皮籐、染色加工した籐など、種類が豊富。通販可。
住所:東京都台東区柳橋1-30-6 小西ビル1F
TEL:03-3862-3101
営業時間:9時〜17時(月1回の土曜の営業はインスタグラム@kns_rattanを参照)
定休日:日曜・祝日休
触り心地も私のキュンポイント
荒川区東日暮里にある、生地や手芸材料を扱う問屋が軒を連ねる日暮里繊維街。堀川さんは3カ月ごとに通い、「いつも車で出かけて問屋街をぐるーっと回り、どか買いして帰ります」。
その中の一軒『NAGATO 2号館』はフェイクファーが豊富な生地問屋。「ここでファーの反物が並んでいるのを何げなく見ていたら、急に閃いたのが籐かごバッグにかぶせる冬用のバスケットカバー。ファーを使って動物みたいなもこもこデザインにして、かごバッグにかぶせたら可愛いかも、と」
今や冬用カバーにはクマ、猫、犬モチーフなど多くの仲間が。「私にとってファー素材の一番のポイントは触り心地です。いつも手で触れながら、心にキュンときたものを選びます」
NAGATO2号館
日暮里繊維街に4店舗(本館、2号館、ニット館、ウール館)を構えていて、国産生地も海外輸入品も手頃な価格で入手できる。ここ2号館はフェイクファー、USAコットンプリントが豊富に揃う。
住所:東京都荒川区東日暮里5-33-2
TEL:03-3806-0007
営業時間:10時30分〜18時
定休日:日曜・祝日休
https://www.nagato-nippori.com
旅先で見つけて刺激された手仕事とその素材
山岳民族の衣装飾りに一目惚れ
「旅に出かけると現地の市場に必ず行きます。このビーズ(右)はタイの山岳民族が自分たちの民族衣装に縫いつける数珠玉草の実で、見つけた瞬間にときめきました」。その植物の実のビーズを、籐で作ったちょうちょブローチの触角に使い、愛らしいアクセントに。
縫い手の個性に強烈に惹かれた
籐編みに加え、堀川さんの人気作が刺し子ステッチ。「刺し子を始めたのは、やはりタイをはじめ東南アジアの手仕事を訪ねる旅で出合った山岳民族の刺し子刺繡(左上)がきっかけ。縫い目がマチマチだったり、縫い手の個性あふれる手仕事の跡に魅了されました」
さらに深まった“ポンポン愛”
もうひとつ、堀川さんの作品で目を引かれるのがポンポン使い。「これもタイの市場で見つけたポンポン(右上)。綿糸で丁寧に作られていて、私のポンポン愛が深まりました」。アンティークビーズと組み合わせることで、さらに可愛さが際立つ作品が完成。
『クロワッサン』1176号より
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