自宅で5分! 更年期の乾きを潤す、毎日のうるおいケア──毎日のドライシンドローム対策
イラストレーション・オヤスマー 文・板倉みきこ
【腟】更年期に、最も乾燥が進みやすいパーツ
女性ホルモンの減少による乾燥は、全身の中でもホルモン感受性が高い腟から始まる。乾燥を放置すれば痒みや痛み、膀胱炎や尿漏れなどが起こりやすくなるので要注意。多少の乾燥を感じた時点で保湿をしっかり行うことが、QOLの維持にもつながる。
下着を天然素材に替え、外部からの刺激を軽減
下着による外からの刺激も、実は腟の痒みや痛みを助長する。「通気性や吸水性のいい、肌に優しい天然素材の下着に替えましょう。ゆったりした締めつけのないデザインを選び、常に腟まわりを快適な環境に整えて。ただ、市販の保湿剤を使って保湿を続け、下着などを替えても、不快な症状が5〜6割しか改善しない時は、病院に相談してください」(泌尿器科医・関口由紀さん)
乾きやすい場所を知り、丁寧に保湿剤を塗ろう
腟周辺に、まんべんなく保湿剤を塗る。お風呂上がりに塗るようにすれば、習慣化しやすい。陰核(クリトリス)と小陰唇に囲まれた領域の腟前庭は、特に入念に。「この部分が一番乾燥しやすいからです。指で小陰唇をしっかり開いて塗りましょう。保湿剤は好みで選べばいいですが、肌が敏感な人はワセリンやヘパリン類似物質などがおすすめです」
腟の機能回復に直結する、骨盤底筋の弾力性の維持
保湿をする際、腟に密接に関わる骨盤底筋の弾力性を維持するトレーニングも行いたい。「骨盤底筋が衰えれば、筋肉内の血流は滞り、腟まわりの機能もさらに衰えてしまいます。そうならないため、腟内に指を挿入し、その指を引き上げるイメージで骨盤底筋を締めたり、緩めたりする動きを何度か繰り返しましょう。これが骨盤底筋の筋トレになります」
【口】日々、舌を鍛えて、唾液を出せる口に
さまざまな原因から唾液の分泌量が低下し、発症するドライマウス。けれど、治療が必要なレベルと診断される人は実は少数。口の乾きやねばつきなどが気になる人の多くは、舌を鍛え、姿勢を意識するなど、少しの努力で唾液の量が増やせるという。
唾液の量が最も気になる、食事時には姿勢に注意
唾液が出ないと消化しにくくなる。「唾液を出すには、咀嚼しやすい姿勢を意識すること。物を食べる時に前かがみの姿勢だと、口が開きにくいので唾液が出ません。膝から少しだけ両足を引いて座ると、咀嚼しやすい姿勢を保てます。1口30回を目安にゆっくり噛むと、さらに唾液が出やすくなります」(歯科医・宝田恭子さん)
「パ・タ・カ・ラ」の発声で、口腔全体を鍛える
唾液の分泌だけでなく、口腔機能全体を低下させないよう考案された“パタカラ体操”。「唇をしっかり閉じて弾く“パ”、舌の先を上顎につける“タ”、喉の奥に力を入れて発声する“カ”、舌を丸める“ラ”。4つの音をしっかり発声。それぞれ30回以上繰り返します。毎日実践すれば、口唇や舌、喉の筋肉を効率よく鍛えられます」
萎縮した唾液腺を、マッサージで蘇らせる
女性ホルモンの減少で唾液腺の機能は低下し、加齢により唾液腺自体も萎縮する。「食前や渇きが気になった時に唾液腺を刺激して分泌を促進。一つは、両手の親指で顎の先の内側を舌を押し上げるようにグッと押す方法。もう一つは、首を包み込むように、耳の下から顎先まで顎の骨の内側の柔らかい部分をさする方法です」
“あ〜”と喉奥を震わせて鍛え、顎関節を整える
顎の骨の老化が進む更年期。骨が萎縮し後ろに下がるため、噛み合わせが変化。その結果、舌は落ち、気道を遮ってむせやすくなる。「対策におすすめなのが、口を開けて舌を下げ、喉ちんこを震わせるように大きく長く“あ〜”と声を出すこと。顎関節が整い、喉のほうに落ちがちな舌も鍛えられて上がり、空気の通り道を確保できます」
【目】涙の量と質の維持が、潤いのカギを握る
涙の分泌や質の維持にも関わる女性ホルモン。涙には、目の潤いの維持だけでなく、細菌や微生物から目を守り、角膜に栄養と酸素を届けるなどの重要な役割がある。涙の質や量が変わる更年期に起こりやすい目のトラブルを、セルフケアで防ごう。
4つのツボを押して、目の疲れをケア
神経と血管が集中したツボを刺激すると、目まわりの血流が促進され、涙も出やすくなる。「おすすめのツボは鼻の付け根のやや上方にある“晴明”、瞳の真下のくぼみから、指1本ほど下あたりにある“四白”、こめかみ付近にある“太陽”、首の後ろの太い筋肉の外側で、髪の生え際のくぼみにある“風池”の4つです」(眼科医・有田玲子さん)
アイメイクのオフが、目の乾燥対策にも
まつ毛の生え際の内側にあるマイボーム腺が分泌する油は、目の乾燥対策に必須。でも、アイメイクの汚れ残りが油の分泌を妨げる原因にもなる。「まつ毛の根元はマイボーム腺に近いので、ぬるま湯で丁寧に洗い落としましょう。目の中に入っても大丈夫か、ちゃんと安全テストを経た目元専用の洗浄液がおすすめです」
マイボーム腺の詰まりは、ホットタオルで解消
涙に含まれる油分は、水分の蒸発を防ぐベールとなり、目の乾燥を防いでいる。けれど、加齢でマイボーム腺の油分を押し出す力は弱まり、油が固まりやすくなる。「ホットパックで目元を温めると、油がやわらかくなって出やすくなります。冷めにくいようラップで巻いた、38〜40℃の蒸しタオルで5〜10分温めればOK」
上下まぶたがくっつく瞬きを、意識的に行おう
瞬きをするたびに涙の膜が目の表面を覆い、乾燥を防いで栄養が行き渡る。「長時間パソコンやスマホを見ていると、瞬きの回数は減ります。また、ちゃんと両まぶたを閉じていない人も多く、それでは涙が出にくいのです。おすすめなのが瞬き運動。上下まぶたをくっつける瞬きをゆっくり5回繰りします。1日何度も行いましょう」
『クロワッサン』1175号より
広告