受けられる支援にすぐ繋がる、認知症介護制度の基礎知識
イラストレーション・佐々木一澄 文・小沢緑子
介護保険で受けられる サービス
「基本的に認知症の場合も、介護保険サービスは通常の介護と同じ内容です。要介護度、要支援度に応じたものが受けられます」
代表的なサービスは、ホームヘルパーが自宅を訪問し身の回りの介護や生活援助をする訪問介護と、日帰りで施設に出かける通所介護。
「たとえば親がひとり暮らしの場合、訪問介護は掃除や洗濯など身の回りの家事援助を1時間以内で行ってくれるケースが多いです。通所介護は送迎付きでデイサービスセンター(※16)に通い、介護サービスや機能訓練などを受けます」
サービスの内容は多岐にわたり、認知症の親とその家族に特に役立つものは下記を参考に。
「親の性格、そして介護する自分たちの希望も考慮しながら、どのサービスを利用したいか担当ケアマネジャーと相談しながら決めましょう」
施設に通う
日帰りでデイサービスセンターの施設に通い(通所)、食事、入浴などの介助を受けたり、機能訓練になるレクリエーションを楽しむ。送迎付きが原則。親が施設に出かけることで、その間介護家族の負担軽減となる利点も。
自宅を訪問してもらう
ホームヘルパーが定時に自宅を訪問し、日々の生活の困りごとを援助。食事や排泄の介助、巡回入浴車で専用浴槽を持ち込み入浴の身体介助も。掃除や洗濯などの生活支援は同居家族がいる場合は対象外のケースも。医師や薬剤師などが訪問し、療養上の指導や服薬管理や指導も行う。ほかにもヘルパーと看護師が連携した定期的な訪問や、利用者からの緊急の通報で駆けつけ、状態を確認、判断し必要なサービスを提供する随時対応もある。
短期間施設に泊まる
特別養護老人ホーム(※17)などの施設に短期間宿泊し、介護や機能訓練を受けられる(ショートステイ)。連続利用日数は30日まで。親のためだけでなく、介護をする家族の身体的、精神的負担を軽減するためにも利用可。
おすすめ!
通いを中心に、サービスを組み合わせる
同じ1カ所の事業所で、通所を中心に訪問、宿泊の3タイプを組み合わせながら利用できるサービス(小規模多機能型居宅介護(※18))がある。「認知症の人は人見知りしやすくなる傾向があるので、常に顔なじみのスタッフに会えてケアを受けられるという意味でおすすめです。心身の状態や必要に応じて柔軟に組み合わせられます。家族にとっても安心」。ただ、地域密着型で数が多くないので地域によっては利用できないところもある。
施設に入居し、介護を受ける
認知症で入居できる施設は認知症の人だけの少人数のグループホーム(認知症対応共同生活介護(※19))、特別養護老人ホーム、介護付き有料老人ホーム(※20)。探すのに民間の高齢者施設紹介センターを利用する人もいる。
生活の環境を整える
通所、訪問、宿泊のサービス以外に、介護保険では自宅で介護を受けるための福祉用具費、住宅改修費も適用される。福祉用具は、車椅子や介護ベッドなどのレンタル、ポータブルトイレや入浴補助用具などの購入費。住宅改修費は、手すりの取り付け、段差解消のためのスロープや移動用リフトなどのレンタル費も。これらは事前にケアマネジャーに業者の選定や改修実施について相談し、ケアプランに組み込んでもらう。
介護にまつわる用語をわかりやすく解説
※1 認知症と判定
認知症は脳神経内科、もの忘れ外来、精神科などの専門医が判定。
※2 地域包括支援センター
高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう支援。介護に関する情報が一括入手できる総合窓口的機関。包括センターと呼ばれる。
※3 地域包括支援センターの専門職
主任ケアマネジャーはその人に合ったケアプランを作成。保健師は介護予防を中心に健康相談、健康サービスの情報提供を行う。社会福祉士は家族や本人の困りごとを聞き、適切な福祉サービスや制度へつなぐ。それぞれ有資格の職員。地域によっては高齢者が安心して暮らせるよう、地域の支え合いの仕組みづくりを行う生活支援コーディネーターがいる。
※4 介護保険
40歳以上が加入。加齢や病気で介護や支援が必要になったとき、社会で支えるための公的保険制度。
※5 介護保険以外のサービス
食事の宅配サービス、緊急通報システムなどは介護保険外だが、高齢者に役立つサービス。緊急ボタンを押すと地元の協力員などが駆けつける緊急通報システムは自治体の地域支援事業。
※6 キーパーソン
親本人と介護する家族間の意見をまとめ、介護や医療のプロとの窓口になる調整・交渉、大事なことを決断する役割(両者の窓口として機能)。家族の中で中心的に介護を行う人(主たる介護者)が兼任する場合も、違う人が担う場合もある。
※7 介護家計簿
親の介護費用を明確にするために専用家計簿を作り、日付と明細、レシートや領収書も残す。
※8 代行申請
地域包括支援センターの職員などが、親本人や家族に代わり、介護保険申請のための書類作成や提出をする。
※9 認定調査
介護保険の認定を行うための調査。通常1時間程度。質問は74項目あり、項目ごとに「できる/できない」「介助されていない/見守ってもらう/一部介助/全介助」などという形で評価をしていく。判断力も含め、心身の状態から日中の生活、家族状況や居住環境なども聞く。
※10 特記事項
認定調査時にチェックした評価の形だけでは判断しきれないときの根拠、介護の手間と頻度などを書き留める補足欄。
※11 認定結果
認定調査と、認知症判定をした医師による意見書などに基づいて認定される。
※12 区分変更
認定結果に不満がある場合、調査のやり直しの申請ができる。また認定を受けている本人の心身状態が著しく変化した場合も申請可能。
※13 暫定サービス
暫定利用とも呼ばれる。認定結果が出る前に、一時的に仮の状態で介護サービスを利用すること。ただし想定より介護度が低くなった場合、その分の自己負担が増える。
※14 ケアプラン
ケアマネジャーが担当する介護者の状況に合わせ、介護保険サービスを「いつ、どれだけ」利用するか立てた計画のこと。
※15 担当ケアマネジャー
事業所に所属し、利用者とその家族と二人三脚で介護を進める。
※16 デイサービスセンター
高齢者が介護サービスを受けるために日帰りで通える施設。
※17 特別養護老人ホーム
公的介護施設。在宅介護が難しい重度要介護者が入居できる。低コストのため人気が高い。認知症の場合は要件により要介護2以下でも入居可能な場合もある。
※18 小規模多機能型居宅介護
1カ所の事業所で通所、訪問、宿泊の3タイプの介護を組み合わせて受けられる。要支援1以上。
※19 グループホーム
認知症のある高齢者向けの民間施設。1ユニット9人までの少人数で、介護を受けながら共同生活を送る。要支援2以上。
※20 介護付き有料老人ホーム
介護保険の特定施設の指定を受け、スタッフが食事や清掃、介護サービスを提供する民間施設。
『クロワッサン』1174号より
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