Q.がん治療後、10年経ちました。もう安心ですね?
A.がんは、5年過ぎると再発率が下がるので、目安として治療後5年、または10年を過ぎれば治癒と診断されることがあります。
しかし、10年を過ぎたからといって、絶対再発しないとも、安心とも言い切れません。がん細胞には血管やリンパ管の中に入り込む性質があり、最初の治療でがんが消失できたかのように見えても、ミクロレベルでがん細胞が潜んでいる可能性があるからです。それが何年も経って、他の臓器へ転移した後に見つかることがあります。これが再発です。どんながんも例外はあり、再発は起こり得ることです。
ネットなどには、「私はこうしてがんを克服した」「がんは克服できる」といった情報があふれていますが、がんの専門家として、こうした情報には大いに違和感を覚えます。再発したがんを抱えながら、立派に生活していらっしゃる患者さんもいます。がんが再発していないから「克服できた」ことにするのは、おかしいと思うのです。
がんと診断された方は、全員が「がんサバイバー」です。それに今は、再発してもうまく共存していく道があります。克服した、克服していないと区別するのではなく、がんと向き合うすべての人が安心して暮らせるように、応援していける社会にしていきたいと思いませんか。