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【後編】2人に1人が罹患する時代。がんとともに生きる知恵。

腫瘍内科医の勝俣範之さんと、がんサバイバーで美容ジャーナリストの山崎多賀子さんの対談後編。今回はがんの予防法、がんとよりよく共存するための課題を話し合います。
  • 影・岩本慶三 文・及川夕子 監修・勝俣範之

極端な療法に飛びつかないこと。 趣味を楽しむのも治療の一環。

山崎 がんの予防についても聞きたいです。そもそも、有効な予防法ってあるんでしょうか。

勝俣 強く言うべきは「禁煙しましょう」ですね。世界共通の認識です。次に肥満。大腸、肝臓、胆たんのう嚢、膵すいぞう 臓、子宮、腎臓のがんなどは肥満の影響を受けやすいことが分かってきました。でも、がんの一番の要因は、老化、高齢化なのですよ。

山崎 食生活などは?

勝俣 僕が患者さんに話すのは、がんになって「悪者を探さないほうがいいですよ」ということ。食生活が悪かったとかストレスが悪い、夫のせいだとか、皆さん原因を探してしまうんです。でも、がんになったのは、誰のせいでもないことがほとんどです。

山崎 それを医療者には強く言ってほしいな。そう言ってもらえたら、患者は安心して前に進めます。

勝俣 健康志向でも、がんになる人はいるし、毎年検診をしていても、見つからないがんがあるわけですからね。「予防や検診で防げる」といった空気は、変えていかないといけません。

山崎 早期がんや初発がんでは、標準治療を受けることが重要。では、治すことが難しくなる再発がんや転移がんの場合、代替療法や統合医療といったものを試してもいいでしょうか。これからの人生は自分の好きなようにしたいと考えるのは人情だと思うんです。

勝俣 そうした考え方はありだと思います。ただ、行き場がなくなった患者さんが、偽物医療にだまされるというケースが起きていますよね。大事なのは生活の質を高めるということで、それはがんに効果があるという医学的根拠があります。

山崎 生活の質というと?

勝俣 僕は患者さんによく聞くんです。「自分の人生を忘れていませんか? あなたの楽しみは何ですか?」と。すると、「食べることや旅行が好きです。でも好きなことは犠牲にして治療に邁進してきました」と言うんですね。中には再発を恐れ、玄米と野菜しか食べずにやせ細ってしまう人もいる。体力がなくなってしまったら、やる意味がありません。基本的に楽しいなら何をしてもOKです。「自分の生活を大事にすること。それも治療の一環ですよ」と言うと患者さんは安心します。

山崎 私の経験では、運動をしていて良かった。長年バレーボールを続けていますが、入院中、身体が元気だったから心も元気でいられました。筋力、体力はつけておいて損はないです。それに、バレーに集中しているときには、がんのことを忘れています。夢中になれる趣味を持つことは大事ですね。

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