50代からの住まいを考えるための4つのヒント。
これからは自分らしくありたいのです。実り多い人生の後半を過ごすための「家」について考える4つのヒントを「スタイル工房」チーフプランナー渡辺ノリエさん、住生活ジャーナリスト、コンサルタントの藤井繁子さんに伺いました。
撮影・中島慶子(藤井さん) 文・新田草子
これから住まいを選ぶなら、日当たり良好より駅近を。
人生後半に心機一転、というなら、住んでいる家やマンションそのものを替えるという選択肢も。
「その場合、将来売却することも念頭において選ぶことが大事です」
と、藤井さん。人気の家や部屋というと、日当たりが良い、広さがあるなどの条件が浮かぶが、
「今後、高齢者が増えていくことを考えると、広さより重要なのは最寄り駅からの距離。徒歩10分圏内が理想です。首都圏以外でも、行政はサービスの効率を高めるために“コンパクトシティ政策”を進めていて、地方都市にも中心部にアクセスが良くて環境面などの住み心地がよい物件が増えている。そうした地域を選ぶのも一案」
さらにコミュニティが充実していれば、なおよしという。
「高齢者の増加で福祉事業も限界に。そんな時代こそ住民の互助力があると安心です。結果として子育て世代も住みやすい町になる。自治体の窓口を訪ねれば、自治会などコミュニティの活動状況はある程度分かります」
そうした住まい探しはハードルが高いけれど、一度、違う場所で暮らしてみたい……という人には。
「別の住まいを持つ、二拠点生活という方法も。自分たちのリフレッシュになるだけでなく、高齢の親の保養先としても使えます。負担が気になるなら、友人と共同出資で持つという手もありますよ」
コストはいくら? 注目の住宅ローンも知っておく。
住まい方を変える上で一番気になるのは、やはり費用。
「リフォームだと内容にもよりますが、60平米未満なら戸建てで1250万円、マンションだと850万円程度が目安。リタイア前なら充分ローンが組める金額です。住み替えだともっとかかりますが、もとの住まいを売却する前提なら組める可能性はある。メンテナンス費用も忘れずに含めて、資金計画を立てましょう」(渡辺さん)
ただ、年金受給も厳しくなりつつある昨今。返済に不安がある人も増えている。そうした中で注目されているのが、リバースモーゲージと呼ばれる住宅ローンだ。
「住んでいる家や土地を担保にお金を借りて、金利だけを支払う融資。亡くなったりして全額返済できない場合は担保を銀行が取得します。土地の安い地域だと融資金額が少ないなどネックはありますが、自分の財産で余生を過ごし、最後はすっきり、という人には一考の価値がある制度では」
住まいは資産として残しつつ低予算で、というなら、
「小規模リフォームも検討を。リフォームやリノベーションというとすべて取り払って素敵な住まいに、というイメージがありますが、キッチンなど一部を変えるだけで違うもの。自分たちの資金力に合ったこだわりを見つけることで、豊かな住まいが手に入ります」
『クロワッサン』1001号より
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