「住まい方は、結婚や子育てなどのライフステージで変化していくものですが、とりわけ50代から60代で大規模なリフォームを考える方は多いですね」とは、「スタイル工房」のチーフプランナー・渡辺ノリエさん。そのわけは、
「子どもの自立を機に、夫婦2人のための住みかにしたい、というのがひとつ。新築やリフォームから時間が経ち、設備機器の老朽化が始まる時期でもあります。さらに体力の衰えを感じる頃に差しかかり、まだ元気なうちに住まいを整えたいと考える人が少なくない。リタイアを目前にしたシングル女性が居心地のよい住まいを、と考え始めるのもこの時期です」
さまざまな要素が重なる50代は、住まい転換の適齢期。今まさに自宅のリフォームを考えているという住生活ジャーナリストの藤井繁子さんも、「40歳で自分の価値観は確立したと思って家を建てましたが、違いました」と言う。「親の死や自分の体調変化を経ないと気付かないこともあります。良いと思って建てたデザイン性の高い家を持て余すようになって」
目下リデザインを検討中だが、「長寿時代だし、今後どういう変化があるかは予測できません。終の棲家と決めつけず、まずは20年後を見据え、その頃にどう生きていたいか。それに沿って考えていきたいと思っています」